キルギスで中国~キルギス~ウズベキスタン鉄道が着工(キルギス、ウズベキスタン、中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月9日 0時50分
キルギスのサディル・ジャパロフ大統領は2024年12月27日、同年6月に政府間協定が調印された中国~キルギス~ウズベキスタン鉄道建設(2024年6月27日記事参照)の着工式に参加した。その1週間前の12月20日には、キルギス政府と、同鉄道の建設・運営を行う合弁会社である「中国・キルギス・ウズベキスタン鉄道」との間で、この鉄道の設計、建設、資金調達、運営および保守に関する投資協定が調印された。
着工式でジャパロフ大統領は、この新しい鉄道路線を、東西を結ぶ重要な戦略的架け橋と呼び、中国からキルギスなどの中央アジア諸国、トルコを含む中東諸国、さらにEU諸国への物資の輸送を確保するものだと述べた。
中国の習近平国家主席のあいさつが代読され、その中で、このプロジェクトの実施によりアジアと欧州の間に新たな陸上輸送路が形成され、3カ国間の貿易額と人の移動のレベルが大幅に向上することが指摘された。
中央アジアの物流専門メディア「ロジスタン」(2024年12月20日)によると、このプロジェクトの結果、キルギスは輸送の滞留を解消し、中継貿易により国庫に追加収入をもたらし、いくつかの鉱床へのアクセスを容易にし、国の南北を結ぶ路線の建設につながることを期待している。またウズベキスタンは、中国との貨物輸送が容易になり、現在中国からウズベキスタンへの貨物が通過しているカザフスタンへの依存度が下がることも期待している。プロジェクトの主な出資者である中国は、中央アジア諸国との貨物輸送の追加ルートを獲得し、イランや中東諸国へのルートを短縮することを計画している。
ロシア科学アカデミー東洋学研究所のボリス・クシホフ氏は、このプロジェクトが将来的には中国と南欧の輸送接続にも貢献するとみている(「ニュー・イースタン・アウトルック」2024年2月12日)。
カザフスタンの政治学者マラト・シブトフ氏はこのプロジェクトに対し懐疑的な見方を表明しており、新鉄道は、中国から欧州向けの貨物量をめぐってカザフスタンを経由する既存の鉄道ルートと競合することになるが、既存ルートの優位性が高いと主張。同氏によると、現在中国から欧州向けの貨物の6割がモンゴル・ロシア経由、4割がカザフスタン経由で鉄道輸送されているとする(「クロノス・アジア」2024年6月18日)。「ロジスタン」(12月20日)によると、新鉄道の年間貨物輸送量は2030年に800万トン、2040年に1,000万トン、2050年に1,350万トンと予想されている。
(ウラジミル・スタノフォフ)
(キルギス、ウズベキスタン、中国)
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