ウォン副首相、5月15日に第4代シンガポール首相就任へ(シンガポール)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月17日 10時20分
シンガポール首相府は4月15日、リー・シェンロン首相(72歳)が5月15日付で退任すると発表した。ローレンス・ウォン副首相兼財務相(51歳)が5月15日付で同国の第4代首相に就任する。首相交代の発表を受けて、同国では2025年11月までに実施予定の総選挙が2024年中にも実施されるとの観測が高まっている。
リー氏は2004年8月に第3代首相に就任した。同国で首相交代が行われるのは、約20年ぶりとなる。リー首相は2023年11月、自ら率いる与党・人民行動党(PAP)の党大会で、2024年11月21日までに首相交代する意向を表明し(2023年11月6日記事参照)、前年の2022年4月には、ウォン氏がPAPの第4世代リーダーとして閣僚と議員全員の支持を獲得したと発表していた(2022年4月18日記事参照)。
ウォン氏は2011年5月の総選挙で政界入りし、PAPの第4世代指導層の中で最若手の1人だ。2020年1月に新型コロナウイルス対策の政府タスクフォースの共同委員長に就任し、国民に向けた政府対応策の説明で注目を集めた。同氏が率いる第4世代指導者チームは2023年10月、未来の国家のあり方を策定する官民対話「フォワード・シンガポール」(注1)の結果を発表した。リー首相は4月15日に自身のフェイスブックで、「(ウォン氏と第4世代指導層が)数多くの国民との対話を通じて、社会契約(国家と国民の関係性)を刷新し、新しい世代のための国家アジェンダを構築した」と述べた。
地元の英字紙「ストレーツ・タイムズ」は16日、ウォン氏が8月下旬のナショナルデー・ラリー(独立記念演説、注2)後の9月、またはPAP結党70周年を記念する11月の党大会後の12月に総選挙を実施するという一部識者の見方を伝えた。一方、別の識者は2025年度予算案成立後の2025年2月に総選挙に踏み切る可能性にも言及している。リー首相は2023年11月の党大会で首相交代後の自身の進退についてウォン氏に一任するとした上で、「ウォン氏率いる第4世代指導層が次期総選挙で勝利できるよう最大限支援する」考えを示していた。
(注1)フォワード・シンガポール(前進シンガポール)は、2022年6月から約16カ月にわたる官民対話によってまとめられた未来に向けたロードマップ。2023年10月に発表された対話の結果はウェブサイトを参照。
(注2)ナショナルデー・ラリー(独立記念演説)は、独立記念日(8月9日)の約2週間後に行われるその年の政策方針に相当する演説。
(本田智津絵)
(シンガポール)
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