米労働省、児童労働や強制労働の利用が疑われる物品のリストを更新(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月9日 15時55分
米国労働省は9月5日、外国で国際基準に反する児童労働や強制労働を利用して生産したと疑われる物品のリストおよび「最悪の形態の児童労働(注1)」の各国・地域の状況に関する報告書を更新した。
労働省は、2005年人身取引被害者保護再授権法(TVPRA)に基づいてリストを隔年で更新するほか、2000年通商開発法(TDA)に基づいて報告書を毎年更新している。リストおよび報告書は掲載国・地域に制裁などを科すものではなく、企業などがデューディリジェンスを行う際の参考資料などとして位置付けられる。なお、リストおよび報告書で日本は掲載されていない。
労働省によると、今回更新された児童・強制労働の物品リストには、82カ国・地域の204物品が掲載された。リスト掲載国・地域を掲載物品が多い順にみると、中国(34)、インド(29)、ブラジル(25)、パラグアイ(24)、パキスタン、ベトナム(各17)だった(添付資料表参照)。リスト掲載物品を掲載国・地域数が多い順にみると、金(28)、レンガ、たばこ(各20)、サトウキビ(19)、コーヒー(17)、畜牛、綿(各16)だった。労働省の同日の発表によると、今回の更新に伴って、ナツメ、鉛、ニッケル、ポリ塩化ビニル、イカなどが新たに掲載された(注2)。
また、今回更新された最悪の形態の児童労働の報告書では、131カ国・地域における児童労働の状況が盛り込まれた。報告書では、各国・地域を、児童労働対策の進展程度に応じて、「進展なし」「最低限の進展」「中程度の進展」「顕著な進展」の4つに分類している。最も懸念の大きい「進展なし」のグループに分類されたのは、アフガニスタン、イエメン、ミャンマー、チャド、エリトリア、南スーダンなど13カ国・地域(注3)だった。
人権デューディリジェンスの実施に関するウェブサイトも更新
労働省は同日、企業の人権デューディリジェンス(人権DD)の体制構築および改善方法を示したウェブサイト「コンプライチェーン」も更新した。同サイトでは、人権DDを次の8ステップに分類し、各ステップで企業の人権DD実施事例や参考資料を提供している。
(1)利害関係者への関与、(2)人権リスクと影響の評価、(3)行動規範の策定、(4)サプライチェーン全体への発信と教育、(5)コンプライアンス状況の監視、(6)人権侵害の是正、(7)第三者による検証、(8)取り組みや成果の公表。
「コンプライチェーン」のホーム画面。人権DDの8ステップが概説されており、各ステップのアイコンをクリックすると企業事例や参考資料が参照可能(ジェトロ撮影)
(注1)最悪の形態の児童労働は、ILOの182号条約に基づき、奴隷労働、児童買春、薬物取引などの違法な活動に児童を使用などすることを指す(ILOウェブサイト参照)。
(注2)前回2022年版の同リストは2022年9月30日記事参照。
(注3)このほか、アンギラ、英領バージン諸島、フォークランド諸島、モントセラト、ニウエ、セントヘレナ・アセンションおよびトリスタンダクーニャ、トケラウ。
(葛西泰介)
(米国)
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