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5月の米30年固定物住宅ローン金利は7%超で推移、住宅需要や建設事業者の信頼感下押し(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月6日 0時35分

添付資料PDFファイル(124 KB)

米国連邦住宅金融抵当公庫(フレディマック)は5月30日、5月第5週の住宅ローン金利を公表した。5月第5週の30年固定物住宅ローン金利は7.03%に高止まりし、5月を通じてほぼ7%近くで推移した。

フレディマックは今回の発表に際し、「インフレに関するタカ派的な発言が増え、長期国債に対する需要が低迷したため、市場の利回りは軒並み上昇した。これに加え、ここ数週間横ばいで推移してきた経済シグナルにより、住宅ローン金利は上昇に転じた」とコメントした。同期間中に連邦準備制度理事会(FRB)関係者が利下げを実施する前にインフレが著しく改善するのを待つべきだといったスタンスを示し、これを受けて市場の利下げ期待が後退したことなどが背景にあるとの見方を示した。

4月の住宅販売は住宅ローン金利の上昇を受け、新築住宅は前月比4.7%減の63万4,000戸、中古住宅は同1.9%減の414万戸と低調に推移した(添付資料図参照)。5月16日に商務省が発表した4月の住宅着工・許可件数では建設許可件数が同3.0%減と低調に推移したほか、全米住宅建設業者協会(NAHB)が5月15日に公表した5月の住宅建設業信頼感指数も4月から6ポイント下落の45となり、基準値の50を下回る水準となっている。NAHBのカール・ハリス会長は「インフレ抑制の進展が見られなかったため、第1四半期(1~3月)に金利が上昇し、これが建設業者のセンチメントを圧迫している。」として、金利高の影響が消費者・事業者双方に影響を及ぼしているとの見解を示した。

また、ハリス会長は同声明の中で、住宅・都市開発省(HUD)と農務省(USDA)が4月25日に発表した住宅建設における最低エネルギー基準の採用に関して、今後の住宅建設コストの上昇につながりかねないとして懸念を示した。この基準はHUDとUSDAが支援する政府保証付き住宅ローンを付与する条件として、断熱材の使用や気密性の確保などによりエネルギー効率を確保することを求めるもので、中・低所得者層のエネルギー支出削減を狙いとする。両省ではそれらコストについては、政府保証付き住宅ローンに組み込むことができ、エネルギー効率の改善によって各家庭は年間約400ドルの節約ができると説明する。しかし、NAHBは中古住宅市場が逼迫し、現在住宅を持たない層が新築住宅に目を向けざるを得ない中で、こうしたコスト上昇につながりかねない措置は住宅購入をためらわせる要因になると懸念する。また、住居費の低下がFRBの物価安定目標に向けて重要な位置を占めているにもかかわらず、こうした住宅コストの上昇がインフレ抑制に悪影響を与えるとも指摘する。

バイデン政権は大統領選で重要な論点となっているインフレに関し、今回の措置を含めたエネルギーコストの削減や住宅へのアクセス改善(2024年3月18日記事参照)をはじめ、インフレの影響を実質的に緩和する施策を推進することを対策の目玉に据えるが、これらの施策がどのような効果をもたらすのか引き続き注目される。

(加藤翔一)

(米国)

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