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2024年はマイナス成長に下方修正も、2025年以降は回復の予測(ドイツ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月17日 0時50分

添付資料PDFファイル(84 KB)

ドイツ経済・気候保護省は10月9日、2024年秋季経済予測を発表した(プレスリリース、ドイツ語)(添付資料表参照)。2024年の実質GDP成長率予測はマイナス0.2%と、4月下旬の春季経済予測(2024年5月13日記事参照)の予測0.3%から0.5ポイント下方修正された。2023年の実質GDP成長率はマイナス0.3%で、2年連続のマイナス成長となれば2002年・2003年以来、東西ドイツ統一後2度目となる。2025年の予測成長率は1.1%と、春季予測より0.1ポイント上方修正された。

ロベルト・ハーベック経済・気候保護相は「2018年からドイツ経済の大幅成長が止まっている。景気リスクと米中間の地経学的課題に加え、ドイツの構造的課題の影響が大きい」としつつ、経済成長促進のための対策は講じている点を強調した。具体的には、エネルギー供給の確保、官公庁手続きの迅速化、官僚主義の縮小、労働力不足解消などで、それらの対策が結実すればドイツ経済は活性化するという。さらに今後は、気候中立な電力システムの構築、官僚主義の早急な縮小、イノベーションの強化に注力すると述べた。

予測によると、2025年以降の経済成長の鍵は個人消費で、賃金の上昇とインフレの収まり、減税および利下げによる購買意欲の高まりが期待される。また輸出の堅調な伸びと、それを受けた企業の投資動向の高まりなどが経済成長にプラスの影響を及ぼすという予測も盛り込まれた。これらによって雇用が促進されるため、失業率の低下も予想されている。

プラス要素としては、2024年の消費者物価指数上昇率(インフレ率)の予測が、春季予測の2.4%から2.2%へと低下したことが挙げられた。インフレ率の低下傾向は、2025年は2.0%、2026年は1.9%と続くことが予想され、欧州中央銀行(ECB)の目標値である2.0%の達成も視野に入ってきた。インフレ抑制要因としては、比較的厳格な財政規律、適度な労使交渉、利益率の低下などが挙げられた。

今回の発表を受け地元紙「ターゲスシュピーゲル」(10月9日)は、GX(グリーントランスフォーメーション)をてこに大きな経済成長を約束した経済相が、「暖房ハンマー」(注)と経済危機の象徴になっているとやゆした。経済紙「ハンデルスブラット」(10月12日)は、経済成長の枠組みが整っていない現状では不況が長引く恐れもあるとした。

(注)暖房・給湯設備で再生可能エネルギー利用を義務付ける「暖房法」の発案者がハーベック経済・気候保護相。これにより、高額な暖房システムの入れ替えが課されることがあり、ドイツ国内で大きな議論が巻き起こったため、この法律は暖房ハンマーとも呼ばれている(2023年10月17日記事参照)。

(打越花子)

(ドイツ)

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