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ルーマニア大統領選で極右候補が最多得票、決選投票に向け予想外の展開に(ルーマニア)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月26日 17時15分

ルーマニアで11月24日、大統領選挙が実施された。中央選挙管理委員会が翌25日に発表した最終結果によると、投票者数は946万5,257人、投票率は52.55%だった。無所属で極右のカリン・ジョルジェスク氏が得票率22.94%でトップ、中道右派のルーマニア救出同盟(USR)候補のエレナ・ラスコーニ氏が19.18%で次点となった。両者とも過半数の票を獲得しなかったため、12月8日に決選投票が行われる。

事前の世論調査では、連立与党で中道左派の社会民主党(PSD)候補の​現職首相のイオン=マルチェル・チョラク氏が首位、次いで3~5%程度の差で極右ルーマニア統一同盟(AUR)候補のジョルジュ・シミオン氏が追い上げていた。このため、選挙前の支持率1%未満でランク外だったジョルジェスク氏や、上位に入っていなかったラスコーニ氏の躍進は衝撃を持って受け止められている。

チョラク氏は得票率19.15%で、トップ2者に僅差で敗れた。現地報道では、チョラク氏は今回の結果を受けてPSD党首を辞任することを検討しており、PSD候補が大統領選挙の決選投票に進まないのは、1989年の民主化後初めてだと報じた(「ディジ24」11月25日)。

今回、最も多く得票したジョルジェスク氏は、国立持続可能開発センターの所長を務めた後、環境省や外務省、国連、民間シンクタンク・ローマクラブなどで要職を務めた経験をもつ。動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」を中心に選挙運動を展開し、フォロワーは19万7,000人に上る。今回の結果について、複数メディアで同氏の過去の極右的人物への支持や反NATO発言が注目され、極右・親ロシア思想であることが危惧されている(「ルーマニア・インサイダー」11月25日)。選挙キャンペーンでは、輸入依存度の低減、地元農家の支援、食料とエネルギーの国内生産の増加を表明していた。

これに対し、次点のラスコーニ氏は親欧米的な外交政策を示しており、汚職撲滅や国防費の増加、ウクライナの継続支援を公約として掲げ、選挙開始前には米国やカナダに住むディアスポラ(移民)に積極的に投票を呼びかけた。勝利すれば初の女性大統領となる。

大統領の決選投票を控える中、12月1日には上下両院選挙が実施される。今回の大統領選の第1回投票で与党PSDを抑えて躍進した極右や中道右派USRがどれだけ票を伸ばすか注目される。

(小林京瑞、アリーナ・フタディエフ)

(ルーマニア)

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