日・バングラデシュ政府が支援する経済特区BSEZ、暫定政権下でも通常どおり稼働(バングラデシュ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月10日 0時25分
バングラデシュでは8月5日にシェイク・ハシナ首相が辞任して1カ月が経過し、ムハンマド・ユヌス首席顧問が率いる暫定政権下で経済再建を目指している。そのような状況下、日本とバングラデシュの両政府が支援し、住友商事が開発・運営する「バングラデシュ経済特区(BSEZ)」の操業状況や見通しについて、BSEZの河内太郎社長、新川将司部長、早田優理課長に聞いた(9月4日)。概要は次のとおり。
(問)BSEZの現状は。
(答)現在8社が契約済みで、うち1社は工場稼働済み、1社は工場建設開始、3社は工場の建設工事を準備中の状況だ。8社中、日本企業は4社(ライオン、日華化学、アートネイチャー、アイリス)、外資系企業3社(シンガー、ルドルフ、プラディスACI)、バングラデシュ企業1社(レベリエ・パワー&オートメーション・エンジニアリング)となっている。
また、現状約30社から引き合いを受けており、確度高くご検討頂いている企業は10社弱。残りの20社は、来年(2025年)以降に本格的に検討する見込みとなっている。
(問)抗議活動やハシナ首相辞任前後での稼働状況は。
(答)7月に学生デモが活発化し、抗議活動を展開している際は稼働していたが、外出禁止令が発出された7月20日からは現場の稼働停止を余儀なくされた。ハシナ首相辞任の1週間後から、現場の稼働を再開した。シンガーの工場も稼働し、ライオンの工場建設も再開した。
(問)現在の稼働状況はどうか。
(答)現在は、平常どおり操業している。特区内の上下水場も完成し、シンガーとライオンには上水供給も開始済みだ。BSEZの運営だけでなく、(管轄のバングラデシュ経済特区庁など)政府内の動きも平時に戻っている。また、円借款で整備される変電所〔230キロボルト(kV)〕も建設業者が決まり工事を準備中。暫定政権発足後、新規の問い合せは減少しているものの、以前から引き合いのあった内需向け企業(食品分野)や縫製業関連(洋服タグ、化学品)は継続して検討中。9月中ごろからは、日本企業によるBSEZ視察の予定が入りつつある。
(問)今後の見通しは。
(答)情勢が不安定だった時期は操業を止めていたが、暫定政権発足後は落ち着きを取り戻し、既にシンガーは冷蔵庫(日産400台)の生産を再開、他の入居企業も工場建設工事を開始している。内需向け製造業や縫製関連企業からは「政変の影響により検討は数カ月遅れたが、バングラデシュの旺盛な市場の魅力は変わらない」といった声をもらい、土地購入の引き合いも継続的に入っているところ。また、円借款で整備される大型変電所(230kV/33kV)の建設工事も開始されたことからも、政変以前の状態に戻りつつあると感じている。これまでどおり日本企業によるBSEZへの訪問視察を歓迎したい。
BSEZの運営を行う(左から)早田課長、河内社長、新川部長(ジェトロ撮影)
(安藤裕二)
(バングラデシュ)
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