2024年第1四半期のGDP成長率は前期比0.1%、前期から鈍化(オーストラリア)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月24日 0時45分
オーストラリア統計局(ABS)は6月5日、2024年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率が前期比0.1%と発表した(注1)(添付資料表1、表2参照)。前年同期比では1.1%となり、2021年第1四半期以降で最も低い成長率となった。
需要項目別でみると、必需品・サービスの消費が増加したことで、民間最終消費支出は前期比0.4%増となった。例年と比べ夏の気温が上昇し、主に電気・ガス料金への支出が増加したことが要因だ。裁量的支出も海外旅行、スポーツ・音楽イベント(F1レースや有名人コンサート)などサービスを中心に増加した。政府最終消費支出は1.0%増となった。連邦政府や州政府による世帯向けの給付が増加した(注2)。一方、国内総固定資本形成は0.9%減となった。民間住宅は建設許可件数の減少と不動産市場の低迷を反映し、0.5%減少だった。鉱業など非住宅部門の民間建設投資が減少(4.3%減)した一方で、データセンターと車両への投資増加により機械設備投資は増加(2.2%増)した。財貨・サービスの輸入は、前期(3.5%減)から大幅に増加し5.1%増だった。特に、財貨の輸入については、医薬品、衣料品、履物など幅広い消費財の輸入増加により6.5%増加した。財貨・サービスの輸出は、0.7%増だった。財貨の輸出については、液化天然ガス(LNG)、非貨幣用金、食肉が増加した一方、石炭など一部の品目の輸出が減少した。サービス輸出は、外国人留学生の入国者数が平均を下回ったことに伴い減少した。
産業別にみると、医療サービス業が前期比1.4%増と最も増加した(添付資料表2参照)。医療関連サービスと一般開業医(GP)受診者数の増加によるものだった。主要産業の鉱業は0.1%増だった。LNGの増産で石油・ガス(2.9%増)は増加した一方、金の生産は減少、雨天など天候不良により石炭(0.7%減)、鉄鉱石(0.2%減)の生産も減少した。農林水産業は、前期まで2期連続マイナスだったが、第1四半期は家畜生産の増加により0.6%増とプラスに転じた。他方、建設業は天候不良と建設活動の減少により2.6%減となった。卸売業も、自動車・自動車部品の卸売の減少により2.0%減だった。
(注1)金額は全て季節調整済みの数字。
(注2)連邦政府による医療サービス支出増加に加え、一部の州政府が電気料金支援給付金(2023年12月13日記事参照)を支給した
(青島春枝、山崎美樹)
(オーストラリア)
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