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米議会予算局が今後の約10年間の財政見通しを発表、高齢化などで赤字が徐々に拡大(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年2月14日 1時20分

添付資料PDFファイル(198 KB)

米国議会予算局(CBO)は2月7日、2024年から2034年までの財政見通しを発表した。

財政赤字に関しては、2024年は災害に伴う税制上の特殊要因の剥落により、また2026年から2028年にかけてはトランプ減税の終了に伴う税収増により一時的に赤字が縮小するものの、2028年以降は高齢化による歳出増などの影響もあり、今後10年間で赤字が徐々に拡大していく傾向となっている。財政赤字は、2023年の1兆6,840億ドル(GDP比6.2%)から2034年には2兆5,570億ドル(GDP比6.1%)に達する見込みだ。財政赤字のGDP比では、第二次世界大戦とその直後、2007年から2009年にかけての金融危機、新型コロナ禍に次ぐ高水準となっている。

また、財政赤字の拡大に伴って、累積債務残高も、2023年の26兆2,400億ドル(GDP比97.3%)から2034年には48兆3,000億ドル(GDP比116%)にまで拡大する見込みだ(添付資料表参照)。

なお、2023年5月に発表された前回見通しと比較すると、2023年の財政収支に関しては、テクニカルな要因のため前回見通しから悪化(赤字額:1兆5,390億ドル→1兆6,840億ドル)した。2024年も悪化しているが、その幅はわずかとなっている(1兆5,710億ドル→1兆5,820億ドル)。2033年における累積債務残高は若干改善(46兆7,090億ドル→45兆7,390億ドル)している。

歳出面では、義務的経費については、2028年以降、メディケアなど高齢者向け支出の増大に伴って急速に増加していく見込みで、2025年から2034年までの10年間の平均で5%ずつ増加していく。裁量的経費については、2025年までは財政責任法(2023年6月5日記事参照)に沿って運用され、その後は年平均2.3%ずつ増加していく前提で試算されている。また、財政赤字の拡大とともに利払い費も増加していく。これらの結果、歳出は2023年の6兆1,230億ドルから2034年には10兆320億ドルまで増加する見込み。

一方、歳入面では、所得税に関して、2024年は災害を受けた地域における所得税の徴収延期分の支払い再開により、その後もトランプ減税における個人所得税の軽減措置期間の終了に伴い増加していく想定となっている。同軽減措置期間の終了は相続税・贈与税の増加にも寄与する想定だ。次いで、法人税に関しては、2024年は所得税と同様に災害を受けた地域における法人税の徴収延期分の支払いなどにより増加するが、その後は2017年税制改正法により支払うこととされていた各種の課税効果が失われることなどもあり、GDP比では徐々に減少していく想定だ。また給与税に関しては、GDP比で5.9%が維持される想定となっている。これらの結果、歳入は2023年の4兆4,390億ドルから2034年には7兆4,740億ドルまで増加する見込みだ。

(加藤翔一)

(米国)

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