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OECDアンケート、メキシコ回答者の7割が治安問題を最重要社会課題と認識(メキシコ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月12日 13時30分

添付資料PDFファイル(103 KB)

OECDは7月10日、加盟30カ国を対象にした「公的機関への信用要因調査2024」を発表した。アンケート回答者は12項目の選択肢から「国が直面している最も重要な社会問題」として3項目を選択し、その選択率でランキングするという手法を用いた。メキシコは12項目(注1)のうち、4項目が30カ国中の上位3位に入った。具体的には「犯罪や暴力」が1位(回答率69.81%)、「失業と仕事」が2位(43.63%)、「ソーシャルメディアによる犯罪」が3位(11.46%)、「汚職」が3位(41.63%)だった。

メキシコ国家安全システム事務総局(SESNSP)によると、犯罪認知件数は新型コロナウイルス感染拡大で一時的に減少したが、その後、治安関連の傷害や殺人といった対人被害件数が増加している。新型コロナ禍前(2019年)の対人被害事件と盗難事件の割合は、それぞれ約65%と約35%だったが、2020年からは前者の割合が高まっており、2024年上半期は約74%に至った(添付資料図参照)。OECDの調査で約7割の回答者が「犯罪や暴力」を重要な社会問題として選択した理由は、対人被害割合の増加が1つの要因と考えられる。

国立統計地理情報院(INEGI)によると、年平均失業率は2021年が4.1%、2022年3.3%、2023年2.8%と下降傾向で、不完全就業率(注2)も同期間で12.6%、8.3%、7.8%と改善傾向にある。しかし、調査では「失業と仕事」が調査対象国で第2位となった。これには実際の就労者数が関係している。社会保険庁(IMSS)に登録せず、十分な納税義務を果たしていないインフォーマル就労率が55.0%(2023年)あり、非合法な事務所で働くインフォーマル部門就労率も28.2%と高い。メキシコでは経済活動人口(15歳~64歳)が年間で約100万人増加しているが、2023年のIMSS登録者数(いわゆる正規労働者数)は約65万人で、十分な雇用が生み出されていない現状が調査結果に反映されたと考えられる。

「ソーシャルメディアによる犯罪」は、ジャーナリストやオピニオンリーダーの受難が要因だ。国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」によると、メキシコでの記者殺害件数は、2022年が世界最多の11人で、2023年も4人だった。記者の誘拐件数も1995~2023年に31人を数え、同期間に発生した全世界の記者誘拐件数の約37%に上る。

(注1)調査対象は30カ国で、最大12項目。メキシコは「気候変動・環境への脅威」「汚職」「犯罪や暴力」「ソーシャルメディアによる犯罪」「防衛と外交」「ヘルスケアなどの基礎サービス」「住宅」「飢餓と社会的不平等」「価格上昇とインフレ」「誤情報とフェイクニュースの拡散」「失業と仕事」の11項目で回答し、「移民」は対象外だった。メキシコでの回答者は1,965人。

(注2)仕事はしているものの、より多くの時間に就業したいと考える就業者の比率。

(志賀大祐)

(メキシコ)

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