GCCの経済成長率は2024年2.8%、2025年4.7%と世界銀行が予測、成長の鍵は教育(湾岸協力会議(GCC)、中東)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月4日 1時0分
世界銀行は5月29日、湾岸協力会議(GCC)地域の経済成長率を2024年が2.8%、2025年が4.7%に回復するとの最新の予測を報告した。今後のGCC諸国の持続的な経済成長には教育の質の向上が不可欠であることも述べられ、GCC加盟各国の今後の展望も予測されている(2024年6月4日記事参照)。
報告の中で、同地域の回復の要因を、OPECプラスが2024年後半に生産割当を徐々に緩和させることで、石油生産が回復することだけでなく、中期的に非石油部門が拡大することをあげている。世界銀行は、GCC諸国が経済の多角化に取り組んでいることは不安定な世界経済の中で回復力と持続可能な開発を促進するとして評価した。一方で、GCCの財政黒字が縮小していることを指摘し、中期的には炭化水素による収入が同地域の財政および対外収支において引き続き重要としている。
また、世界銀行のGCC地域ディレクターのサッファ・エル・タイブ・エル・コガリ氏が「良質な教育が経済成長を促進する可能性を高める。過去10年間でGCC諸国は学習成果を大幅に向上させたものの、国際基準では後れをとっている」と述べるなど、同地域の教育の質は、世界各国と競争する能力を阻害する大きな要因としている。GCC諸国では本来、18歳までに平均して12.7年の教育を受けると見込まれている。しかし、実際の学校での教育は8.6年となっており、教育の質が原因で、平均して4.1年の学習機会を失っているとした。さらに、GCC地域で生まれた子供は、教育の質の低さによって、潜在的な生産性の62%しか達成できないと予測されている。
こうした状況を踏まえ、世界銀行は、GCC諸国が人的資本の潜在能力を活用し、学習と教育の質を向上させるために、幼児期から基礎スキルの取得や学習評価を活用した教育政策の決定など、戦略的な投資を推奨している。特に、幼児期からの基礎スキルの取得がGCC諸国にとって非常に重要であると強調しており、重要な役割を果たす教職員の知識の醸成やサポートメカニズムの提供が不可欠とまとめている。
(加藤皓人)
(湾岸協力会議(GCC)、中東)
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