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デンマークのフレデリクセン首相、トランプ氏との電話会議で安全保障に言及(デンマーク、米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月11日 13時20分

11月5日に行われた米国大統領選挙の結果を受け(2024年11月7日記事参照)、デンマークのメッテ・フレデリクセン首相は6日、米共和党のドナルド・トランプ前大統領の勝利を祝福する声明を発表した。

翌7日にはフレデリクセン首相はトランプ氏と電話会談を行ったことを明らかにし、「良い対話を行うことができた。特にウクライナ戦争やロシアの侵略、ロシアやイラン、北朝鮮問題で協力し、中国の脅威についても話し合った」とコメントしている。欧州製品への関税についての懸念に関する言及はなかったものの、幾つかの重要課題について話し合ったとみられる。

声明ではさらに、フレデリクセン首相は、1期目のトランプ政権が国防分野で欧州各国の安全保障に対する再軍備を要請してきたことに言及し、この指摘は完全に正しかったと述べている。デンマークは現在、防衛と安全保障に関する予算として、NATOが推奨するGDP比2%に対し、第1期トランプ政権発足前の時点と比べて2倍以上の水準となる2.4%を充てている。

両国間で過去、摩擦が全くなかったわけではない。トランプ氏が米大統領として2019年にグリーンランド購入に関心を表明した際、フレデリクセン首相は不条理な提案だとして明確に拒否し、トランプ氏はフレデリクセン首相の発言を「酷い(Nasty)」と評して、当時計画されていたデンマークへの国賓訪問を取りやめている(現地紙「エビーセン・デンマーク」11月7日)。

デンマークの産業界からは、懸念を示すコメントが目立つ。デンマーク産業連盟のラース・サンダール・ソレンセン最高経営責任者(CEO)は11月6日、トランプ氏の勝利はデンマークの企業や経済、欧州にとっては悪いニュースで、米国の次期政権と協力する方法を早急に模索する必要があると発表した。その必要性はデンマーク商工会議所や各種メディアも指摘している。ソレンセンCEOは特に安全保障や国際競争、気候変動に対する取り組みは依然として大きな課題である一方、政治的状況の変化によって喫緊性がより増したと指摘した。デンマークでは、洋上風力発電や環境・エネルギー大手のオーステッドや、風力発電機製造販売のベスタスをはじめとした環境関連企業の国際的な活躍が顕著で、多くの産業分野で積極的なグリーンシフトが進んでいる。米国が化石燃料に回帰することになれば、環境関連企業に大きな影響を与えることになるだろう。

また、デンマーク商工会議所によると、デンマークの対米輸出入と投資は、ここ数年で大幅に増大しており、米国が追加関税を導入すれば、デンマーク企業は大打撃を受ける可能性が高い。その一方で、大手企業を中心にデンマーク企業は米国への工場設置など直接投資で他国より大きく先行しており、関税導入により米国市場で比較優位性を確保できる可能性があるとする見方も示した。

(安岡美佳、福井崇泰)

(デンマーク、米国)

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