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ウクライナ、トランプ次期政権へ期待と懸念(ウクライナ、米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月2日 16時0分

米国のドナルド・トランプ次期大統領は選挙戦中、自身が大統領なら、24時間以内にウクライナでの戦争を終わらせる、と公言していた。次期政権の人事を着々と進める中、11月27日には、ウクライナ・ロシア担当特使に元陸軍中将のキース・ケロッグ氏を指名すると発表した。ケロッグ氏がかつてトランプ氏に提示した戦争終結計画には、戦線を現在の場所で凍結し、ウクライナのNATO加盟を先延ばしにすることで、両国を交渉のテーブルに着かせることが含まれる。トランプ氏のウクライナでの戦争への対応方針は、現地では期待と懸念の双方の声が聞かれている。

ウクライナの著名な活動家であるセルヒー・ステルネンコ氏は11月6日、自身のYouTubeチャンネルで、トランプ陣営にはウクライナを支持する共和党員が多数おり、彼らの影響により今後数カ月の間で、トランプ氏の対ウクライナ政策が変化することに期待を示した。

ウクライナの民間シンクタンク「新欧州センター」のアリョーナ・ヘトマンチュク氏は、トランプ氏の勝利がウクライナに与える影響をテーマとした討論会で、トランプ氏の次期大統領選出は、脅威ではなく良い機会として捉えるべきだとし、ウクライナがこの機会を利用できるかが問題とした。また、戦争終結にトランプ氏を巻き込むためには、同氏にイニシアチブを譲りながら、偉大な平和実現者となりたい同氏の虚栄心を巧みに利用することが重要と指摘した(「LB.ua」11月12日)。

9月までウクライナ外相を務めたドミトロ・クレバ氏は、ポリティコとのインタビュー(11月27日)で、トランプ氏の戦争終結に向けた取引に、ウラジーミル・プーチン大統領が同意するとは思えないと述べた。また、ゼレンスキー大統領が、領土の割譲やNATOへの非加盟に同意することは憲法上できないと指摘し、「(合意への署名は)ゼレンスキー氏の政治的な終焉(しゅうえん)になる」と否定的な見通しを示した。

ウクライナのラズムコフ・センターが9月に実施したよる世論調査によると、「ロシアとの交渉は、平和実現のために今すぐ活用されるべき効果的な方法か」との質問に対して、「はい」の回答が2022年9~10月に実施された調査の16.6%から18.6ポイント増の35.2%まで上昇した。ウクライナにおいて、和平交渉への期待が高まりつつある。一方で、「ウクライナがロシアに対して勝利することを信じるか」との質問には、「はい」または「どちらかと言うとはい」と答えた人の合計が2022年8月の91.5%から2024年9月は83%と大きくは下がっておらず、依然として大多数のウクライナ人が徹底的な抗戦の意思を示している。

(柴田哲男、坂口良平、下畑真優)

(ウクライナ、米国)

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