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ジェトロが「営業秘密漏えい対策セミナー」開催(中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月1日 0時5分

ジェトロは7月23日、中国進出日系企業向けに「営業秘密漏えい対策セミナー」を開催した。上海市人民検察院第三分院の王新新検察官と、上海魏和劉法律事務所の劉海生弁護士が講師として登壇。王検察官は、営業秘密の定義や構成要件、営業秘密に関する刑事事件の類型と特徴、企業の営業秘密保護とコンプライアンス管理体制の健全化、リスク予防について、多くの典型例を交えながら講演した。

王検察官によると、刑法の2021年3月1日の改正・施行では、219条の営業秘密侵害罪に関して比較的大きく改正された。「情状が重い」ことを有罪の判断基準とし、犯罪金額(権利者にもたらした損失額)が同基準の重要な要素としたほか、拘役(注)を廃止し、懲役を最大10年に引き上げた。

上海市の検察機関が近年受理した営業秘密侵害案件の特徴は次のとおり。

1. 受理案件数が著しく増加。
2. 製造業とハイテク産業の技術情報に関わる営業秘密を主としている。
3. 犯罪主体の文化的水準が比較的高く、組織犯罪が多発。従業員同士あるいは外部との結託が依然として主な犯罪形態となっている。
4. 犯行手段が多様化し、デジタル環境下での犯罪行為が増加している。犯行パターンは主に「内外結託型」「転職による秘密漏えい型」「独立起業型」などが含まれる。また、デジタル技術の急速な発展やネットワーク上のオフィスアプリケーションの普及に伴い、ネットワーク侵入により営業秘密情報を取得するケースも増加している。

企業の営業秘密保護とリスク防止について、王検察官はコンプライアンス管理体制の構築、秘密事項管理の強化、他社の営業秘密の侵害を回避するためのリスク管理などに関してアドバイスした。このほか、自社の営業秘密が侵害された場合の権利行使や救済手段についても解説した。

劉弁護士は、企業の営業秘密保護の現状、主な漏えい経路、漏えい時の救済策、漏えいの防止策について講演した。

参加者からは、「事例紹介や対応策などの説明があり、非常に分かりやすかった」「中国現地法人の営業秘密の管理体制を見直すに当たり、有益な情報を得ることができた」「関連法令・実務について知ることができた」などコメントが寄せられた。

ジェトロは今後も上海市の検察機関をはじめ、関係各所との交流を継続し、日系企業の中国ビジネスに関わる情報の収集・発信を強化していく。

写真 ハイブリット形式で開催したセミナー(ジェトロ撮影)

ハイブリット形式で開催したセミナー(ジェトロ撮影)

(注)拘役とは、中国の刑法で規定し、短期的に犯罪者の人身の自由を奪う刑罰の1つ。犯罪者が所在する地域の公安機関が設置した拘役所で執行される。拘役の期限は1カ月以上6カ月以下。労役に参加する場合は、裁量により報酬を受け取ることができる。

(許蓓莉)

(中国)

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