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欧州委、ディープテック分野への共同出資を強化(EU)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月23日 15時0分

ディープテック企業のスケールアップ支援に特化したEUのイノベーション支援機関、欧州イノベーション会議(EIC)は、ジェトロが10月9日に実施したインタビューに対し、欧州のスタートアップと日本企業との協業により、気候変動対策、気候中立を目指す技術の商用化が期待されると話した(注)。

EICのステファン・オウアキ局長によると、EICの支援企業へのアンケートで、欧州域外に関心のある国として、日本は米国、カナダに次ぐ3位だった。欧州のスタートアップにとって、日本は大きな市場であるとともに、ディープテック技術の開発に力を入れており、有望なパートナーと目されている。同様に、欧州は技術・イノベーション開発に力を入れており、優れた大学、科学技術を専攻する学生、エコシステムを持つ。協業により、世界で通用する技術開発が可能と話した。

EICの最大の支援分野は、脱炭素に貢献する技術分野だ。新たな技術の商用化には、各種規制への対応に加え、依然として化石燃料由来の技術が使用されており、コスト面で優位なことも多いことから、支援と変革が必要と強調した。EICの支援スキームは技術に合わせて3段階あり、商用化を目指すアクセラレーションでは、補助金に加え、概念実証(PoC:Proof of Concept)を経た企業に対し、「EICファンド」を通じて出資しているのが特徴だ。

規制対応コストについては、「欧州グリーン・ディール政策は、2050年の気候中立の達成に向け、欧州が目指すべき方向性を示すものだ。調整や変更が必要なこともあるが、単一市場の魅力は変わらない」と話した。

欧州委員会、ドラギ報告書の勧告に対応

EICの創設は、欧州のイノベーションの商用化に貢献していると評価されている。同時に、課題として、ドラギ報告書(2024年9月19日記事参照)は、米国に大きく水をあけられたテック産業の成長を推進するために、予算の拡大やイノベーション支援機関の機能統合の必要性を指摘している。

欧州委は10月21日、ディープテック企業への共同出資を加速すべく、EICファンドと欧州のベンチャーキャピタル(VC)など71社との「信頼される投資家ネットワーク(Trusted Investors Network)」を設立した(プレスリリース)。EICファンドはこれまでに251のスタートアップに約10億ユーロ出資しており、共同出資額と合わせると、約40億ユーロ規模となる。「信頼される投資家ネットワーク」はこのノウハウを生かし、より大きな資金へのアクセスを目指すものだ。欧州委のイリアナ・イバノバ委員(イノベーション・研究・文化・教育・青少年担当)は、今回のイニシアチブはドラギ報告書の勧告に対応するもので、資金へのアクセスを拡大することで、重要技術分野で欧州の競争力を確保していくとした。

(注)EICは、EUの研究開発支援プログラム「ホライズン・ヨーロッパ」(2020年10月1日記事参照)の3つの柱の1つ「イノベーティブな欧州」の136億ユーロの予算のうち、100億ユーロの予算規模を有する。うち35億ユーロはディープテックへの出資を行う「EICファンド」で、日本企業との共同出資の事例もある。ジェトロは10月、EICと、欧州スタートアップと日本企業との協業連携支援を開始した(2024年10月18日記事参照)。

(薮中愛子)

(EU)

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