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バイデン氏に対して米大統領候補者交代の声高まるも、民主党幹部は否定(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月1日 11時35分

11月の米国大統領選挙に向け、6月27日に行われた大統領候補者同士による討論会は、政策議論が深まらずに終わった(2024年7月1日記事参照)。討論会直後に最も注目を集めたのは、民主党のジョー・バイデン大統領の年齢リスクで、民主党内で候補者交代が協議されるとの報道が広まった。ただし、民主党の指導部は候補者交代を否定している。

バイデン氏の年齢リスクは、討論会が始まる前から指摘されており、2024年1月の一般教書演説(2024年3月8日記事2024年3月11日記事参照)のように、力強い討論ができるかが注目されていた。だが、討論会でのバイデン氏は、声がかすれる場面や言葉に詰まる場面が複数回みられ、期待されていたパフォーマンスを発揮できなかった。世論調査では、ドナルド・トランプ前大統領を討論会の「勝者」と回答した有権者の割合が60.1%で、バイデン氏(20.8%)を圧倒した(ファイブ・サーティ・エイト6月28日)。

CNNのチーフ・ナショナル・コレスポンデントのジョン・キング氏は、討論会直後に、民主党内では「深く、広く、そして非常にアグレッシブなパニック」が広がっていると指摘した。その後、主要メディアでは、バイデン氏が民主党の全国大会で正式に大統領候補者として指名される前に、他の候補者に代える検討が始まるだろう、との報道が広まった。

さらに討論会の翌日には、連邦下院のマイク・ジョンソン議長(共和党、ルイジアナ州)が「憂慮すべき状況であり、多くの人が憲法修正第25条の発動(注1)について尋ねている」「米国の敵対国は、われわれと同じように、ホワイトハウスの弱点を見抜いている」として、民主党を牽制する発言をした(議会専門誌「ザ・ヒル」6月28日)。

ただし、民主党側は候補者交代を否定している、とする報道が複数みられた。バイデン氏が立候補を取り下げた場合の主要な候補者として名前が挙がっているカリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は「われわれは、大統領の背中を押さなければならない。ひとつのパフォーマンスで、背を向けることはない」と、討論会後にMSNBCのインタビューに答えている(注2)。また、「ザ・ヒル」(6月28日)は、ホワイトハウスの関係者が「バイデン氏による大統領候補者の辞退はない。(辞退により)生じ得るのは、不況を引き起こすMAGAノミクスと極端な中絶禁止だけだ。われわれが勝利し続けているため、彼らがパニックになっている」と述べた、と報じた。CNN(6月28日)も、バイデン陣営の広報担当のセス・シュスター氏が、バイデン氏が立候補を取りやめる「根拠はない。有権者がそれに同意していることを示すものは何もない」と述べた、と報じた。

バイデン氏が今後、民主党から正式に大統領候補者として指名されるのか、あるいは立候補を取り下げて代替候補が現れるのかは、現時点では判然としない。ただ、いずれにせよ今回の結果を受け、民主党にとって11月の選挙に向けた巻き返しが必要になるのは確かだ。民主党の大統領候補者指名は8月7日までに行われる予定で(注3)、今後の動きに注目が集まる。

ジェトロの特集ページ「2024年米国大統領選挙に向けての動き」では、大統領選挙に関する最新動向を随時紹介している。

(注1)大統領の地位の継承を定めた憲法修正第25条は、副大統領と内閣の過半数が、大統領が「権限と義務を遂行できない」ことを議会に通告した場合、副大統領に大統領の権限と義務を与えることなどを定めている。

(注2)ニューサム知事のほか、カマラ・ハリス副大統領やミシガン州のグレッチェン・ウィットマー知事などが、バイデン氏に代わる候補として名前が挙がっている。

(注3)民主党の全国大会は8月19~22日に予定されているが、オハイオ州での選挙登録手続きが全国大会よりも早く締め切られるため、民主党の大統領候補者指名は、同州の締め切りより前に予定されている。

(赤平大寿)

(米国)

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