日本産イチゴ生果実のフィリピン向け輸出が解禁(フィリピン、日本)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月20日 15時35分
日本産イチゴ生果実のフィリピンへの輸出が、12月15日付で解禁された。日本の農林水産省は12月13日、フィリピン検疫当局との技術的協議の結果、輸出にかかる検疫条件について合意に達したと発表した。これまで日本からフィリピンへの輸出が許可されていた青果物はリンゴとナシ(注1)のみで、日本産イチゴ生果実については、オウトウショウジョウバエなどの病害虫が日本で発生していることを理由に禁止されていた。
輸出解禁を受けて、三越BGCを運営するミツコシ・フェデラル・リテイルの石本隆人財務・管理本部長は、「ミツコシ・フレッシュ(注2)開業から2年がたったが、フィリピン人からの日本産果物の要望は多く、特に日本産イチゴについては非常に多かった。これまで日本産果物はドライフルーツやジャムなどの加工品を代替提案してきたが、高品質な生鮮イチゴをきちんと管理された状態でフィリピン消費者に届けることに尽力したい」とコメントした。また、三越BGC内にあるサワダ・イチゴ・カフェの澤田和也オーナーは、「輸出解禁は、日本産イチゴがフィリピンの皆さんに届く大変すばらしい取り組み。初回輸入にも携わる予定のため、円滑にフィリピンへ輸入し供給販売できるよう対応したい」と述べた。
フィリピン国内では、ルソン島北部のベンゲット州が最大のイチゴ生産地で、年間生産量は約650~800トンにのぼる。一方、フィリピンはイチゴの輸入もしており、2023年の生鮮イチゴの輸入量は数量ベースで31トン、金額ベースで約11万ドル、主な輸入相手国は米国と韓国だった。
なお、フィリピンにおける生鮮イチゴ(HS081010)の輸入関税は、MFN税率の場合15%となるが、日本からの輸入では、日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)、日本・フィリピン経済連携協定(PJEPA)、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定のいずれかを利用すれば0%となる。
日本・フィリピン間の青果物貿易に関しては、2024年11月にフィリピン産アボカドが初出荷された(2024年11月22日記事参照)。また、日本の農林水産省によれば、現在、ブドウとモモのフィリピン向け輸出解禁に向けて協議が進められている。
(注1)フィリピンにおける2023年の日本からの生鮮リンゴの輸入量は、数量ベースで87トン、金額ベースで約37万ドルだった。また、生鮮ナシの輸入量は、それぞれ3トン、2万ドルだった。いずれの品目でも中国が数量、金額ともに95%以上を占めており、日本は4位の輸入相手国。
(注2)ミツコシ フレッシュは、三越BGC内にあるスーパーマーケット。日本産食品が多数販売されている。
(西岡絵里奈、アセンシオ・アシュレイモイラ)
(フィリピン、日本)
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