EU市民の77%が共通の防衛・安全保障政策に賛成、欧州委の世論調査(EU)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月30日 1時20分
欧州委員会は5月23日、最新の世論調査(ユーロバロメーター)を発表した。6月の欧州議会選挙を前に、EU市民が引き続き、共通の防衛・安全保障政策に賛成していることが分かった。また、欧州経済に対する現状認識は47%が「良い」と回答し、2019年以降、最も高まった。調査は2024年4月3~28日に、27加盟国の2万6,399人のEU市民へのインタビューにより実施した。
安全保障政策については、EU市民の77%が、共通の防衛・安全保障政策を引き続き支持した。軍事装備の生産能力を強化する必要があるとの回答は71%と、2023年秋の前回調査からわずかに増加した。加盟国共通の外交政策への支持率は69%を維持した。さまざまな課題を抱える世界のなかでも、EUは安定していると回答したのは67%に上り、69%がEUは経済的利益を守るための力と手段を有していると回答した。
EUが取り組むべき中期の優先分野は、安全保障と防衛(34%)、気候変動と環境(30%)が僅差で続き、健康(26%)、経済、移民(いずれも25%)となった。短期的に市民生活に最も良い影響を与えるものとしては、平和と安定の確保(46%)、域内の食料、健康、産業供給の確保(28%)、雇用の創出と移民管理(26%)が続いた。
ロシアによるウクライナ侵攻について、人道的支援には87%、侵攻から逃れてきた人の受け入れは83%が賛同。ロシアへの経済制裁については72%、ウクライナへの財政支援には70%が支持した。ウクライナの軍事装備の購入や供給への財政支援、ウクライナのEU加盟交渉の開始にはいずれも60%が賛同した。
EUが直面する15の重要課題のうち、最も票を集めたのはロシアによるウクライナ侵攻で、35%と前回調査から7ポイント増えた。移民問題(24%)、国際情勢(22%)、インフレ(19%)が続いた。
欧州経済に対する現状認識は、47%が「良い」と評価し、2019年以降最も高い水準となった。45%は今後1年間、欧州経済は安定的に推移すると回答。この傾向は、EU共通通貨ユーロへの支持率の高さ(EU全体で70%、ユーロ圏で78%)にも反映された。
EUとEU市民権に対する肯定的な認識も拡大し、「自分はEU市民だ」との回答は74%。EUの将来について楽観的との回答は62%で、前回調査の61%からわずかに上昇。EUへの信頼は49%に上昇したものの、各国政府への信頼は33%に減少した。また、EUと自国の民主主義の在り方への満足度は、それぞれ57%、58%となった。
(大中登紀子)
(EU)
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