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米国務省、人身取引報告書を発表、中国の人権状況を引き続き懸念(米国、中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月25日 10時50分

米国国務省は6月24日、米国を含む188カ国・地域の人身取引対策の状況を評価した「2024年人身取引報告書」を発表した。同報告書は「2000年人身取引被害者保護法(TVPA)」に基づいて2001年から毎年公表されている。

報告書では、各国・地域の人身取引対策の状況について、深刻度に応じてティア1~3のグループに分類している(注1)。このうち、人身取引対策が最も遅れているグループ(ティア3)には、中国、ロシア、北朝鮮、イランなど21カ国・地域(注2)が分類された。中国に関しては、中国政府が人身取引対策のために幾つかの措置を講じたと評価した一方で、特に新疆ウイグル自治区でウイグル人やそのほかの少数民族が強制労働(注3)の影響を受けていると問題視した。また、強制労働の影響は「一帯一路」構想を通じたインフラ整備プロジェクトに従事する労働者など中国国外にも及んでおり、被害者の特定や支援が不十分だとした。なお、米国はウイグル強制労働防止法(UFLPA)に基づき、新疆ウイグル自治区が関与する製品について、強制労働の利用があると見なし、米国への輸入を原則禁止している(2024年6月12日記事参照)。

米国は同報告書のほか、人権に関して、世界各国の人権状況をまとめた「人権報告書」(2024年4月23日記事参照)や、児童労働対策の状況をまとめた「最悪の形態の児童労働に関する報告書」、児童労働などを利用して生産された物品をまとめた「児童・強制労働によって生産された物品リスト」などを公表している。また、米国国務省は2024年3月に、企業に期待する人権デューディリジェンスの取り組みなどを示した、責任ある企業行動に関する国家行動計画の第2版を公表している(2024年3月28日記事参照)。

(注1)ティア1は、TVPAに基づく人身取引への対応の最低基準を完全に満たす国・地域、ティア2は、TVPAに基づく対応の最低基準を完全には満たさないが、重要な努力を行っている国・地域、ティア2監視リストは、ティア2と同様の国・地域だが、人身取引の被害者数が多い、または増加している国・地域、ティア3は、TVPAに基づく対応の最低基準を完全に満たさず、基準を満たすための重要な努力も認められない国・地域。ティア3に分類された国・地域に対しては、人道・貿易を除く分野での2025会計年度中の対外援助の提供が中止され得る。

(注2)アフガニスタン、ベラルーシ、ブルネイ、ミャンマー、カンボジア、中国、キューバ、ジブチ、エリトリア、イラン、北朝鮮、マカオ、ニカラグア、パプアニューギニア、ロシア、シント・マールテン、南スーダン、スーダン、シリア、トルクメニスタン、ベネズエラ。

(注3)報告書では、人身取引形態の1つに強制労働を挙げている。

(葛西泰介)

(米国、中国)

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