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バイデン米政権、在香港企業向けの勧告更新、国家安全維持条例施行を受けて(米国、中国、香港)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月13日 10時0分

米国のバイデン政権は9月6日、在香港の米国企業などに向けて、事業活動へのリスクの高まりを勧告する文書を発表した。2021年7月に発表した勧告内容を更新したものとなる(2021年7月19日記事参照)。

勧告は国務省と農務省、商務省、国土安全保障省、財務省の5省連名となっており、2021年7月時から農務省が新たに加わっている。この時期での更新の背景には、2020年に施行された香港国家安全維持法と、2024年3月に施行された香港基本法第23条に基づく国家安全維持条例の存在があるとしている(2024年3月21日記事参照)。同条例は、国家反逆、反乱、国家機密およびスパイ活動に関する犯罪、国家安全を脅かす妨害行為、国家安全を脅かす活動をする外部勢力と組織の5つの分野を犯罪の対象として処罰することを可能とするものだ。国務省がプレスリリースで強調している勧告の要旨は次のとおりだ。

香港で事業を行っている企業やそれら企業のために事業を行っている個人は、香港国家安全維持法と国家安全維持条例の広範かつ曖昧な条項の対象となる。
企業は国家安全維持条例の域外適用により、香港外の企業や個人にも影響が及び得ることを認識すべき。
香港で事業を行っている企業は、香港国家安全維持法と国家安全維持条例への違反を理由とした、強化された査察や罰金の可能性と法的措置により、法律、規制、事業、金融、レピュテーションにかかる潜在的なリスクに直面している。
香港で事業を行っている企業は、制裁関連法令の順守の取り組みで、相反する法律上の要請・責任に直面する可能性がある。米国の制裁への違反は、米国法令に基づく民事上・刑事上の罰則に至る可能性がある。

勧告本文では、企業や事業を営む個人にとどまらず、学術機関や報道機関、研究サービス、投資家なども、香港を取り巻く法令環境の変化に注意するよう促している。また、企業などが日常的に行っている政府の政策に関する調査や現地顧客向けのデューディリジェンス調査、現地または中国本土の経済情勢や企業に関する分析、現地政府や外国政府機関の職員・ジャーナリスト・非政府機関との関係維持、データの管理や保護、香港を越えてのそれらの移送なども国家安全維持条例違反となり得ると警鐘を鳴らしている。

(磯部真一)

(米国、中国、香港)

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