大統領選挙に向け、有力候補者陣営が経済政策を議論(スリランカ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月6日 1時0分
スリランカのセイロン商工会議所は8月29日、大統領選挙の各有力候補者を経済政策面で補佐する専門家4人による討論会を開催した。無所属のラニル・ウィクラマシンハ現大統領をシェハン・セマーシンハ財務担当副大臣が、スリランカ人民党(SLPP)のナーマル・ラージャパクサ氏を国会議員のランジット・バンダーラナーヤカ氏が、統一人民戦線(SJB)のサジット・プレマダーサ氏を同じく国会議員のハルシャ・デシルワ氏が、国民の力(NPP)/人民解放戦線(JVP)のアヌラ・クマーラ・ディサーナーヤカ氏を地場金融機関役員のハルシャナ・スーリヤッペルマ氏が、それぞれ各候補者の代理として議論した。
セマーシンハ財務担当副大臣は現政権の実績として、2022年春に発生した経済危機への一連の対応のうち、外貨準備高回復による経済の安定化、マクロ経済強化に向けた財政再建や債務再編、危機の再発防止を図る施策の法制化などを強調した。加えて、新たな経済特区の設置やタイやインドとの自由貿易協定(FTA)によって生産性が向上するなど、結果として年7%の経済成長を実現、財政バランスを確保した上で公務員給与引き上げを掲げたことを挙げた。
バンダーラナーヤカ氏は、税負担軽減や雇用創出、医薬品の継続的な確保などを通じた即時的な国民救済策、イノベーションの推進や持続可能な経済成長を提起した。
デシルワ氏は、経済の自由化と社会保障の強化を図る「社会市場経済」の発展を目標として掲げ、汚職撲滅による透明性の確保や、デジタル化推進による確実な税の徴収、政府が保護する輸入代替工業化から脱却し、貿易・投資の拡大による経済成長を訴えた。さらにIMFの金融支援パッケージ〔拡大信用供与(EFF)プログラム(2023年3月22日記事参照〕について、既存の枠組みの範囲内で一部を調整するという方針を示した。
スーリヤッペルマ氏は、旧政府の不透明な財政支出を批判した上で、倫理的な政治家のリーダーシップの下で汚職を根絶し、外国直接投資の誘致による安定した経済環境や輸出拡大を実現するとした。IMFの金融支援パッケージについては、既存の枠組みから逸脱せず、より確実に歳入を確保するという計画の下で再交渉する構えを見せた。
議論を交わす、各陣営の代表者(ジェトロ撮影)
(大井裕貴)
(スリランカ)
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