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米主要港、4月の小売業者向け輸入コンテナ量は前月比4.6%増と予想上回るも、消費者は引き締め姿勢に(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月17日 1時20分

添付資料PDFファイル(261 KB)

全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社ハケット・アソシエイツが発表した「グローバル・ポート・トラッカー報告」(6月10日)によると、4月の米国小売業者向けの主要輸入港(注)の輸入コンテナ量は前月比4.6%増、前年同月比で13.2%増の202万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算、添付資料図参照)となり、NRFが5月時点で予測した196万TEU(2024年5月10日記事参照)を上回った。

今後の見通しについても、5月は前年同月比8.3%増の209万TEU、6月は同15.2%増の211万TEU、7月は同9.5%増の210万TEU、8月は同10.6%増の217万TEU、9月は同1.7%増の206万TEU、10月は同2.3%減も201万TEUと、少なくとも10月までは200万TEU以上の高水準を維持する見通しだ。

今回の発表の中で、ハケット・アソシエイツ創設者のベン・ハケット氏は、コンテナ輸入量が200万TEUを7カ月連続で上回る見込みだが、これは年間出荷量の「ピークシーズン」の変化によるものと指摘する。その背景として、同氏は「(新型コロナウイルスの)パンデミック後の好調な販売を受けて小売業者が在庫を補充したことや、8月に発効予定の中国原産品に対する関税引き上げ(2024年5月15日記事参照)に先駆けて、消費需要が強い中で、ホリデーシーズンに向けて十分な在庫を確保しようとしている」として、さまざまな要因が輸入量の増加に寄与していると述べた。

一方、個人消費の減速を示唆する兆しが見られており、直近の小売統計では前月比で横ばい(2024年5月17日記事参照)と、無店舗小売りや自動車などの販売減が押し下げ要因になった。また、4月の個人消費支出(PCE)では、実質ベースで前月比0.1%減と、財部門に限らず、外食や娯楽など複数のサービス分野でも、消費者が引き締め姿勢を強めている傾向がみられている(2024年6月4日記事参照)。

米国では、食費などの生活費は依然として高止まりしており、一部の世論調査では、長引くインフレにより家計が圧迫されていることについて、有権者がバイデン政権の経済政策に批判的との結果が示されている。このため、ジョー・バイデン大統領は企業に対し、生産コストが下がっているにもかかわらず価格を人為的に高く維持していると非難するとともに、記録的な利益を上げている大手小売り各社に対し、消費者のために商品の値下げに動き出すよう各社に呼びかけていた(CNBC 5月21日)。これを受け、小売り大手のターゲットは夏の期間中を通して、顧客の購入頻度が高い5,000品目を値下げすると発表したほか、アマゾンやウォルマート、アルディなども数千点の商品の値下げに乗り出すとの発表が相次いだ。こうした取り組みは、衣料品など一部の物価指標にも反映され始めている(2024年6月13日記事参照)ものの、消費や有権者のマインドにどの程度の影響を与えるのかは引き続き注目だ。

(注)主要輸入港は、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトル/タコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ、マイアミ、ジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港を指す。

(樫葉さくら)

(米国)

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