ジェトロ、改正会社法などに関するセミナー開催(中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月4日 0時5分
ジェトロは5月24日、中国の青島日本人会・商工会と共催で、リドラ法律事務所の章啓龍代表弁護士を講師に、「2024年重要法令のアップデート」と題したセミナーを開催した。40人以上の進出日系企業関係者が参加した。
本セミナーを開催した背景として、近年、多数の法令が公布・改正されていることがある。「会社法」は旧来のものに比べ、大幅に改正され、減資、持ち分譲渡、従業員董事(注1)の導入、董事、監事、高級管理職の責任と義務の強化などさまざまな規定が新規追加または変更された。また、「個人情報保護法」などに基づくデータの越境提供をめぐっても、個人情報保護影響評価(PIA)の実施、標準契約の締結と当局への届け出について、それぞれ具体的な基準が設けられ、企業として取るべき対応がより明確になってきた。これらの法令の要点に対する理解を深め、普段の経営活動に生かすことが重要となっている。
さらに、2019年1月に個人所得税法が改正され、それに伴い同年3月に公布された財政部・税務総局公告2019年第34号により、2018年以前の居住年数がリセットされ、2019年からのゼロスタートとなった。すなわち、2024年は居住者に対するいわゆる「6年ルール」(注2)最終年にあたり、その対応準備が必要となる。グローバルインカム全般に対する課税をどのように避けるべきかなどにつき、あらためて理解することが望まれる。
章弁護士はセミナーで、2024年7月1日に施行される改正「会社法」について確認すべき主なポイントとして、(1)会社の機関設置およびその権限設定に与える影響、(2)資本金の出資期限、(3)ガバナンス強化への対応、(4)持ち分譲渡、(5)董事、監事、高級管理職の責任と義務の強化、などを挙げた。また、中外合弁企業か、独資企業かなどパターン別に、自社の対応方法を検討すべきだ、と指摘した。
章弁護士は、データ(個人情報)の越境提供、「個人所得税法」についても解説した。最近公布されたその他の関連法令と司法解釈として、2024年7月1施行の「消費者権益保護法実施条例」、同年3月20日施行の「税金の徴収管理に危害を与える刑事案件の取り扱いにおける法律適用の若干問題に関する解釈」、2023年12月に意見募集の行われた「労働紛争事件の審理における法律適用の問題に関する解釈」なども紹介した。
(注1)董事は、日本の株式会社における取締役、法人における理事などに該当する。
(注2)中国国内における居住日数が累計で満183日、かつ1回に30日を超える出国のない年数が連続で満6年になるまでは、主管税務機関への届け出により、国外源泉所得については中国国内の企業、個人などが支給した部分についてのみ、個人所得税を納めることが認められる。すなわち、6年を過ぎると、支払い義務が発生する。2019年1月に個人所得税法が改正される前は、その期間が満5年だった。
(赤澤陽平)
(中国)
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