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米共和党政策綱領、インフレ対策や減税など打ち出すも、具体策は不明(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月9日 11時25分

米国のドナルド・トランプ前大統領の選挙陣営は7月8日、共和党の2024年の政策綱領が党全国委員会で承認されたと発表し(2024年7月9日記事参照)、綱領ではインフレ対策や減税を中心に、経済政策についても触れている。

インフレ対策に関しては、「この40年で最悪のインフレ」「家計は圧迫され、何百万人もの人々が持ち家を持つという夢に手が届かなくなった」と現状を総括した上で、(1)石油・天然ガスの採掘を進めるとともに、エネルギー生産に係る規制を撤廃し、グリーン・ニューディールを廃止することで、エネルギー価格の引き下げを実現する、(2)無駄な連邦支出を削減する、(3)規制緩和によって1世帯当たり1万1,000ドルの諸コストを削減する、(4)不法移民を阻止することで、その流入によって押し上げられた住宅費や教育費、医療費を削減する、(5)力による平和を実現することで地政学的リスクを低減し、商品価格を引き下げるといった取り組みを進めるとしている。

また、生活に密接に関連するコスト削減に関しては、別途詳細を示している。インフレの中でも特に論点となっている住宅価格(2024年7月4日記事参照)に関しては、(1)上記施策によるインフレ低下を通じた住宅金利の引き下げ、(2)国有地の開放による建設用地の確保、(3)税制優遇や初めて住宅を購入する者への支援、(4)規制緩和による住宅建設コストの削減を挙げた。そのほか、4年制大学に代わるより手頃な選択肢の創設による高等教育経費の削減、競争促進による医療費や処方箋薬の費用の削減、規制緩和やエネルギーコスト削減による生活費削減などを実施するという。

インフレ以外の経済政策に関しては、(1)規制の削減、(2)トランプ減税の恒久化と、チップ課税の廃止、(3)公正かつ互恵的な貿易取引、(4)信頼できる豊富な低コストエネルギー、(5)暗号資産や人工知能(AI)に係る規制の撤廃や、宇宙関連産業の活性化などによるイノベーションの推進を5つの柱として掲げている。

今回、トランプ前大統領が再選した場合の経済政策が初めて体系立てて示されたかたちだが、具体的な内容は不明な部分が多い。例えば、インフレ対策に関しては、規制緩和による供給面の改善と、移民の減少に伴う需要減により需給のリバランスを目指す方針と思われるが、エネルギーを除いて、規制緩和の具体的な内容は記載されていない。このため、移民の減少に伴う労働力不足が引き起こす賃金上昇圧力や、関税引き上げに伴う輸入物価の上昇圧力を打ち消すのに十分な効果が得られるのかどうかは不透明だ。また、経済政策に関しても、トランプ減税の恒久化やさらなる減税が盛り込まれているが、その内容や財政面を含めた実現可能性については言及がない。グリーン・ニューディールの廃止という文言はあるものの、インフレ削減法(IRA)など現行の産業政策の扱いは不明で、政策の一層の具体化が待たれる。

(加藤翔一)

(米国)

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