2025年の最低賃金引き上げ率は12%に(メキシコ、米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月24日 16時15分
メキシコの最低賃金委員会(CONASAMI)は12月19日、2025年の最低賃金引き上げ率を12%に決定したことを発表した(12日19日付連邦官報)。メキシコの最低賃金は、一般最低賃金と特定業種別最低賃金に分かれ、一般最低賃金は北部国境地帯とそれ以外に大別される。最低賃金の上昇率は、憲法が定める理念を満たすための購買力回復に向けた上昇分(Monto Independiente de Recuperación:MIR)と、インフレ考慮分で構成される。CONASAMIによると、北部国境地帯以外の一般最低賃金は現状の日給248.93ペソ(約1,942円、1ペソ=7.8円)から、278.80ペソへ、29.87ペソ(12.85ペソのMIRと、6.5%のインフレ考慮分の合計)引き上げられた(CONASAMIプレスリリース12月4日)。また、北部国境地帯の一般最低賃金は、現状の374.89ペソから419.88ペソとなり、44.99ペソ(19.36ペソのMIRと、6.5%のインフレ考慮分の合計)の引き上げとなる。
今回の一般最低賃金の上昇率について、雇用主側代表のメキシコ経営者連合会(COPARMEX)は歓迎している。同連合会の12月4日付プレスリリースによると、引き上げ後の一般最低賃金は、基礎物資を2人分賄うことができる金額の91%に達するとされている。また、2026年までに一般最低賃金が上述の基礎物資2人分の100%をカバーすることを目指すともした。さらに、クラウディア・シェインバウム大統領は、最低賃金の引き上げにより、2030年までに基礎物資2.5人分をカバーできるようにするという目標を支持しつつも、引き続き労働市場やインフレ、経済の状況を常に監視することが重要と強調した。
最低賃金が一般工員賃金と同水準に
一般最低賃金が88.36ペソだった2018年のエンリケ・ペニャ・ニエト政権末期と比較すると、2024年のアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール政権下の一般最低賃金は約2.82倍、クラウディア・シェインバウム政権の2025年には約3.16倍となる見通しだ。インフレ率(2024年11月時点での累積インフレ率3.76%)を考慮した場合、2025年には最低賃金と一般工員賃金の差が2024年比で縮小する見込みだ(添付資料表参照)。
最低賃金の引き上げについては、2026年にもその可能性が示唆されていることに鑑みれば、企業にとっては継続的な賃上げに対応せざるを得ない状況になりつつある。
(阿部眞弘)
(メキシコ、米国)
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