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イタリア政府、人員削減計画を受け、トルコの家電大手ベコと協議継続(イタリア、トルコ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月24日 0時15分

イタリア政府は12月10日、トルコの白物家電大手ベコ(Beko)と、同社の事業計画に関する協議会を開催した。同社との協議は11月7日、20日に続いて3回目だ。ベコはトルコの多国籍企業アルチェリッキ(Arçelik)の子会社。アルチェリッキは2023年に米国の家電大手ワールプール(Whirlpool)と、両者の欧州家電事業を統合することで合意し、2024年4月に設立された新会社ベコ・ヨーロッパが同事業を引き継いでいる。その後、同社はイタリアのシエナやバレーゼなどの製造拠点で2025年末までに1,935人を解雇する計画を明らかにし、イタリア政府や関係者との協議を重ねている。協議会にはアドルフォ・ウルソ企業・メイドインイタリー相のほか、企業危機担当次官や上記各州製造拠点の代表者、労働組合などが参加した。

政府は2023年5月から、アルチェリッキとワールプールの欧州事業統合に対して、ゴールデン・パワー(注)を行使し、認可する条件として、技術流出の防止、雇用や生産の維持などを提示していた。12月10日の協議で、ウルソ企業相は要件が満たされていないとして、ベコ・ヨーロッパに対し、イタリアへの積極的な投資や、ルーマニアを含むほかの欧州工場と重複している状況を考慮した上で、事業計画を再度提示することを要求している。

12月11日付の現地主要経済紙「24オーレ」によると、ベコは2025年から2028年の間にイタリアに1億1,000万ユーロを投資するとしており、政府の要件に沿った事業計画だと主張したという。また、同社は市場調査会社GfK(GrowthfromKnowledge)のデータを示し、欧州企業による白物家電を含む主要家電製品の生産量が下降している状況を指摘した。2015年は4,910万台で欧州市場での欧州企業のシェアは67.3%だったが、2023年には4,030万台で同シェアは53.3%と減少し、欧州の白物家電市場が衰退している現状を挙げた。一方、金属加工労働者連盟(Fiom)など複数の労働組合は同社の提案を受け入れられないとし、政府による即時制裁を要求している。

12月4日に行われた下院の公聴会で、ウルソ企業相は、ここ数カ月でベコのポーランド拠点では1,800人が解雇、英国でも300人が解雇された例を挙げ、イタリアではゴールデン・パワーを行使して大規模な解雇を阻止したことを成果として強調した。ただ一方で、雇用水準の確保がゴールデン・パワー適用の対象となるのか、また、国外直接投資の減少につながるのではないかなど、同制度の在り方を問う報道もある。次回の協議会は2025年1月中旬に予定されている。

(注)イタリアの国家安全保障やエネルギー、運輸、通信など、特定分野の株式または資産の取得の取引に関して、政府が拒否権の行使や特別な条件の付加ができるイタリア独自の投資規制。

(平川容子)

(イタリア、トルコ)

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