米財務省、対外投資規制の最終規則を発表、AI分野の対象範囲を更新(米国、中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月30日 13時20分
米国財務省は10月28日、対外投資規制プログラムの最終規則を発表した(2024年10月30日記事参照)。最終規則の対象範囲は、2024年6月に発表された規則制定案公告(NPRM、2024年6月24日記事参照)とおおむね同様だが、人工知能(AI)における範囲などは更新された。同省が同日発表した、最終規則における対象分野と罰則は次のとおり(注1)。
〇半導体・マイクロエレクトロニクス
禁止対象:特定の電子設計自動化ソフトウエア、特定の製造・先端パッケージングツール、特定の先端集積回路の設計・製造、集積回路の先端パッケージング技術、スーパーコンピュータに関連する取引
届け出対象:禁止取引の定義に該当しない集積回路の設計・製造・パッケージングに関連する取引
〇量子情報技術(注2)
禁止対象:量子コンピュータの開発や重要部品の製造、特定の量子センシングプラットフォームの開発や製造、特定の量子ネットワークまたは量子通信システムの開発・製造に関連する取引
〇特定のAIシステム
禁止対象:特定の最終用途にのみ使用されるように設計された、または特定の最終用途に使用されることを意図して設計されたAIシステムの開発に関連する取引。さらに、10の25乗の演算操作を超える計算能力を使用して訓練された、または、主に生物学的配列データと10の24乗の演算操作を超える計算能力を使用して訓練されたAIシステムの開発に関連する取引
届け出対象:禁止取引の定義に該当しないAIシステムの開発に関連し、当該AIシステムが10の23乗の演算操作を超える計算能力を使用して訓練された取引
対外投資規制プログラムに違反した場合の罰則などは次のとおり。
〇罰則:国際緊急経済権限法(IEEPA)に定められた民事および刑事罰が科せられる。民事上の罰金は、IEEPAに基づく最高額の36万8,136ドル(最終規則施行時点。インフレ率に合わせて毎年調整)、または違反した取引の価値の2倍のいずれか高い方が適用される。
〇資産売却:財務長官は、IEEPAに基づき、禁止された取引の無効化、取り消し、資産売却の要求などの措置を取れる。
〇自主的な自己開示:最終規則に違反したと考える場合、自主的な自己開示を行える。財務省は、罰則などを決定する際に自己開示を考慮する(注3)。
(注1)主要な用語の解説は2024年10月30日記事参照。
(注2)量子情報技術では、NPRMと同様に、届け出対象は規定されていない。
(注3)輸出管理規則(EAR)違反で自己開示した場合は、罰金などが発生しない非金銭的な解決が図られたことがある(2024年6月26日記事参照)。
(赤平大寿)
(米国、中国)
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