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中国、法定退職年齢を15年間で段階的に引き上げ(中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月20日 0時30分

中国の第14期全国人民代表大会(国会に相当)常務委員会第11回会議は9月13日、法定退職年齢の段階的な引き上げに関する決定を可決した。

決定では、今後15年かけて法定退職年齢を段階的に引き上げるとしており、男性従業員は満60歳から満63歳へ、女性従業員は満50歳および満55歳(注1)からそれぞれ満55歳および満58歳へ引き上げるとした。本決定は2025年1月1日から実施される。

決定に盛り込まれている「国務院による法定退職年齢の段階的な引き上げに関する実施方法」によれば、男性従業員と法定退職年齢が満55歳の女性従業員について、2025年1月1日から法定退職年齢を4カ月ごとに1カ月ずつ延長し、それぞれ満63歳と満58歳まで最終的に引き上げる。法定退職年齢が満50歳の女性従業員については、2カ月ごとに1カ月ずつ延長し、最終的に満55歳まで引き上げる。

また、年金受給の要件となる年金保険料の最低納付期間を2030年1月1日から毎年6カ月ずつ延長し、現行の15年間から最終的に20年間まで引き上げる。

さらに、年金保険料の最低納付期間が満たされた場合、最長3年間の早期退職を自主的に選択することができるとした。ただし、女性従業員は満50歳または満55歳、男性従業員は満60歳、すなわち変更前の法定退職年齢を下回ってはならない。また、勤務先と従業員の間で合意ができた場合、退職を最長3年延期することができる。

人的資源・社会保障部の王暁萍部長は同日に開催された記者会見で、退職年齢を引き上げる背景などについての質問に対し、現行の法定退職年齢を定めた1950年代から中国の経済・社会および人口構造(注2)は大きく変わり、労働者のニーズも多様化したため、退職年齢の調整が必要となったと回答した。その上で、退職年齢の引き上げは、人的資源の有効活用の促進や労働力の有効供給の増加につながるほか、労働者の多様化したニーズに応えることにつながると説明した。

同部の李忠副部長は、退職年齢の引き上げは小幅で段階的に実施するほか、定年退職者と若年者の希望する職種が異なるため、若年者の雇用に及ぼす影響は限定的だと解説した。また、より多くの雇用創出や、雇用拡大補助金の支給、税金・費用の減免などの政策により、企業が若者を雇用することを奨励し、若年層の雇用促進に取り組むとした。

(注1)現行の女性従業員の法定退職年齢は「工人」(ワーカー)の場合は満50歳、「幹部」の場合は満55歳となっている。「工人」と「幹部」の認定については、地方によって状況が異なる。詳細については、ジェトロのウェブサイトを参照。

(注2)同記者会見での発表では、2023年末時点の総人口に占める60歳以上の人口の割合は21.1%(2億9,700万人)、65歳以上の人口の割合は15.4%(2億1,700万人)となった。また、生産年齢人口は2012年をピークに、それ以降は毎年平均で300万人以上減少している。

(張敏)

(中国)

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