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カタルーニャ州議会選で独立派が過半数割れ、40年ぶり(スペイン)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月22日 0時40分

添付資料PDFファイル(173 KB)

スペイン北東部カタルーニャ州で5月12日、州議会選挙(定数135)が実施された(選挙結果、暫定値)。投票率は2021年の前回選挙(2021年2月17日記事参照)から6.7ポイント増の57.9%だが、スペインからの州独立機運の高まりで過去最高となった2017年の79.1%からは投票率の低下傾向が続いている。

第1党は前回に引き続き、国政与党の社会労働党(PSOE)系列のカタルーニャ社会党(PSC)で42議席(前回から9議席増)を獲得した(添付資料表参照)。これに独立派主要2党のカタルーニャ連合(Junts)とカタルーニャ共和左派(ERC)が続いた。ただ、2017年に違法な州独立宣言をした後、国外逃亡中のカルラス・プチデモン元州首相が率いるJuntsが35議席(3議席増)と健闘したのに対し、現在、州与党で中央政権との対話路線に転じたERCは20議席(13議席減)と大敗。この結果、Junts、ERC、民衆団結代表の党(CUP)を含む独立派勢力(以前は民族主義)の議席数は前回74から59に減少し、1984年以来40年ぶりに過半数68を割り込んだ。

独立派の支持が低下した背景には「独立運動疲れ」がある。独立問題で過去10年間に4回も州選挙が繰り返された結果、州政府や議会が機能不全に陥り、公共サービスや競争力の低下、干ばつによる水不足への対応不備などが顕在化。独立派の棄権票が増加した。他方PSCは、独立運動関係者への刑の減免や恩赦法を推進し、新たな時代を主導する力をアピールして票を集めた。

新州首相の選出は6月下旬の予定。第1党PSCのサルバドール・イリャ書記長(元保健相)は、ERC、急進左派スマール系との左派3党連立(68議席)を目指すが、第2党Juntsのプチデモン氏もERC、CUPの独立派政党と共に「中央政権に対峙(たいじ)する」独立派の少数政権樹立を模索する。同氏が州首相に返り咲くには第1党PSCが信任投票で棄権する必要があるが、ペドロ・サンチェス首相は5月17日のテレビインタビューで信任投票に協力する可能性はないと断言。政権樹立の鍵を握るのは選挙で敗北したERCだが、中央与党系列のPSCと連立を組むことは現時点では容易ではない。政権合意が成立しない場合、10月前半に再選挙となる。

なお、今回の選挙では、独立反対派・極右の国政政党ボクス(Vox)が11議席を維持した上、州北部で2020年に結党された独立派・極右の新興政党アリアンサ・カタラナ(AC)が初めて2議席を獲得。州議会レベルで極右政党が2党となり、議席の10%を占め、6月の欧州議会選挙を前に反移民を掲げる極右勢力の拡大として注目された。

(伊藤裕規子)

(スペイン)

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