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アラブ諸国の2024年の就業人数は5,920万人、失業率は9.7%、ILO報告(中東、湾岸協力会議(GCC)諸国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月22日 1時0分

ILOは、1月16日に発表した報告書「世界の雇用と社会の見通し、2024年の傾向」において、アラブ諸国(北アフリカを除く)の2024年の失業率は9.7%と世界よりも顕著に高かった。世界全体では失業率は5%で安定したが、若年層の失業率は12.6%と高止まりしたという。世界の経済成長は緩やかながら減速し、インフレ率も低下したものの高止まりしており、地政学的緊張、気候変動によるコストの上昇、債務問題などが労働市場を圧迫していると指摘した。

アラブ諸国の失業率は改善傾向も高止まり

アラブ諸国の2024年の就業人数は5,920万人で、失業人数は640万人だった。失業率は改善傾向で2026年までに9.2%まで低下するとの予測だ。一方で、アラブ諸国が関係する紛争や衝突が深刻化すれば、経済や投資、労働市場に影響を与えるという。

アラブ諸国の失業率推移と予測は次のとおり。

2021年:10.9%
2022年:10.0%
2023年:9.5%
2024年:9.7%
2025年:9.4%
2026年:9.2%

GCC諸国では失業率が低い

同報告書では、アラブ諸国において、石油輸出国と石油輸入国で雇用状況は異なり、特に湾岸協力会議(GCC)6カ国では経済や雇用の状況が大きく異なると指摘した。2024年の失業率は、GCC諸国で2.9%のところ、GCC以外の国では16.5%だ。

GCC諸国では、石油収入の恩恵を受けて多くの国民を公務員として雇用するほか、観光、再生可能エネルギー、ハイテク産業に投資し、経済の多様化を進める。また、人工知能(AI)やデジタル技術の導入を国策として掲げており、スキルトレーニングや投資を行うことで、デジタルプラットフォーム関連の雇用機会なども増加している国もあるという。

若年層や女性の失業率が高い

同報告書によると、2024年にはアラブ諸国の若年層(15〜24歳)の約3分の1が就業や就学・訓練を行なっていない状態にあり、世界の地域別で最も高い割合だ。また、同地域では教育水準が高いほど、若者の失業率が高くなる傾向があり、これは教育水準が高い卒業生に向けた労働需要が少ないという背景があると指摘する。

アラブ諸国では、伝統的な固定観念などにより、就業状況に男女格差もあるという。男性の就業率が73.6%のところ、女性の就業率は19.2%だ。なお、男性の失業率は8.2%のところ、女性は17%だという。

GCC諸国の特徴としては、移民労働者も多く、サウジラビアは移民が1,300万人(移民割合37.3%)、アラブ首長国連邦では843万人(同85.3%)だ(2024年5月20日記事参照)。

なお、アフリカ全体の2024年の失業率は6.5%だが、エジプトやモロッコなどを含む北アフリカでは10.1%だった(2025年1月21日記事参照)。

(井澤壌士)

(中東、湾岸協力会議(GCC)諸国)

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