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第2回米大統領候補者討論会が終了、ハリス氏に追い風との見方(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月11日 15時20分

米国のABCニュースは9月10日、11月の米国大統領選挙の候補者、民主党のカマラ・ハリス副大統領と共和党のドナルド・トランプ前大統領による討論会をペンシルベニア州フィラデルフィアで開催した。大統領候補による討論会は6月に続いて2回目となるが、民主党候補者がジョー・バイデン大統領からハリス氏に交代してからは初となった。

前回同様、司会者が経済や人工妊娠中絶問題など有権者の関心が高い課題について、両候補へ順番に質問し、質問を受けた候補者が2分以内で主張を展開し、相手方は1分以内で反論を行うという流れを軸に、両候補が90分間、議論を戦わせた。最初の質問の経済では、ハリス氏が中間層への減税や中小企業支援など自身の政策ビジョンで口火を切った後に、トランプ氏の政策案は富裕層への減税の繰り返しだと厳しく批判するなど、冒頭から対決姿勢で臨んだ。トランプ氏も、バイデン政権下で歴史的なインフレが起き、大量の不法入国者が流入し、米国経済を破壊していると応じた。また、トランプ氏は、オハイオ州スプリングフィールド市では移民が隣人のペットの犬や猫を盗んで食べているとか、諸外国では犯罪が減少しているのに米国内では増えているなど、事実と異なる発言を度々行い、司会者が訂正する場面が見られた。司会者からは、トランプ氏が提唱している外国からの輸入への一律20%の関税賦課についても質問があった。トランプ氏は、負担は中国など不公正な貿易相手国が払うのであり、米国民に負担はない、自身が大統領だった間に関税でインフレは起きなかったと、一律関税の案を擁護した。

このほか、女性の人工妊娠中絶や移民・国境警備の問題など、有権者の関心が高い課題について討論が進んだ。両候補は基本的に、これまでの自身の発言や、各党の政策綱領で示している指針(2024年9月6日付2024年8月9日付地域・分析レポート参照)を強調したが、トランプ氏は質問には直接答えず、バイデン政権が不法入国者の大量流入を許して国家を脅かしているといった主張に持ち込む場面がしばしば見られた。閉会スピーチでは、ハリス氏が有権者に未来のビジョンを語りかけたのに対して、トランプ氏は終始、ハリス氏批判を展開した点で対照的だった。両党候補者は選挙前にもう1回討論会に臨む可能性があるが、現時点で開催は未定だ。

「ワシントン・ポスト」紙が討論会直後に、激戦州(スイングステート)の有権者24人に対して、どちらの候補者がより良いパフォーマンスを行ったかを聞いたところ、22人がハリス氏、2人がトランプ氏と答えた。討論会を受けて、特に若年層に影響力があるとされる歌手のテイラー・スウィフト氏がハリス氏支持を表明したこともあり、ハリス氏にとって討論会は追い風となったとみられる。

ジェトロの特集ページ「2024年米国大統領選挙に向けての動き」では、大統領選挙に関する最新動向を随時紹介している。

(磯部真一)

(米国)

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