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山東省煙台市、水素エネルギー産業発展を日本に向けてアピール(中国、日本)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月3日 1時40分

中国の山東省煙台市政府は5月21日、水素エネルギーなどをテーマとしたシンポジウムと視察イベント「日本企業煙台ツアー」を開催した。うち水素エネルギー分野の産業交流会には、松下電器(中国)、双日(中国)、三井物産(中国)、豊田通商(中国)などを含む日系企業、中国側からは科学研究機関、中央・国有企業、大手民間企業の関係者が参加し、水素エネルギーに関連する産業の現状や協力の可能性などついて意見交換した。

中国国際経済コンサルティング資源エネルギー研究院の劉美燕院長は交流会の席上、煙台市の港湾都市としての地理的優位性や水素産業の基礎を生かした「国際水素エネルギー貿易港」の建設を提案した。劉院長によると、煙台市には豊富な新エネルギー資源があり、クリーンエネルギー発電設備容量は同市の発電設備容量全体の57%を占め、グリーン水素(注1)製造の好条件を備えている。現段階での水素エネルギー生産の主体の副生水素〔液化天然ガス(LNG)、石油精製などの過程で発生〕に加え、煙台市には多様な水素供給基盤が形成されている。

また、同市では水素分野のリーディングカンパニーを集積させるべく、核心設備産業園が建設され、既に水素の製造、貯蔵、輸送、充填、利用といった産業チェーンの基礎も形成されている。さらに、劉院長の研究報告では、煙台市で2030年までに水素ステーションを12カ所、グリーン水素製造量を12万トン、燃料電池自動車(FCV)生産台数を3,000台、燃料電池船舶を30隻、水素産業生産額を1,200億元(約2兆6,400億円、1元=約22円)に拡大する発展目標があることを紹介した。また、同市が国際的な水素関連製品の取引・貿易の中心となり、1,000億元レベルの産業クラスター形成を目指していることにも言及した。

同じく交流会に登壇した日本の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)北京事務所の梁驍代表は、中国と日本には水素分野での幅広い協力の可能性があると指摘した。特に日本はFCV、充填(じゅうてん)圧力が70メガパスカルの水素充填ステーション、定置型燃料電池などの分野で高度な技術的優位性を持っており、こうした分野のビジネス協力が期待できると表明した。

交流会であいさつした煙台市の鄭徳雁市長によると、同市は山東省でも日本との連携が最も活発な都市の1つとして、日本からの投資額や対日投資額、対日貿易額とも同省での上位にある。また、煙台市は中国で近年推進している「ダブルカーボン」戦略(注2)に沿って、「原子力、風力、太陽光、水素、貯蔵、LNG」を調和させて活用するという新型エネルギーシステムを構築しているほか、化学産業、港湾、新エネルギー資源などの既存の優位性を生かして、グリーン水素化学産業、グリーン水素・アンモニア一体化製造、分散型水素などの水素エネルギーの応用実現を積極的に検討、推進しているという。

(注1)製造過程で二酸化炭素(CO2)を排出しない水素。

(注2)2030年までにカーボンピークアウト、2060年までに実質的なカーボンニュートラルを実現するという中国の目標。

(董玥涵)

(中国、日本)

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