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バレン油田開発、第2フェーズに向けてFPSOが到着(コートジボワール、イタリア)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月21日 0時0分

イタリアの石油・ガス大手ENIは、アフリカ初のネット・ゼロ・エミッションによる油田開発(2023年11月30日記事参照)を進める、コートジボワール史上最大規模のバレン油田で、近く第2フェーズを開始する。12月の操業開始に向けて、オフショアエネルギーのインフラを提供する英国アルテラ・インフラストラクチャー(Altera Infrastructure/本社バミューダ、以下アルテラ)が保有、運用する 円形浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備(FPSO)が10月5日、ドバイで改造工事を完了し、アビジャン港に入港した。

同設備の規模は、長さ100メートル、幅70メートル、喫水9メートル、容積8,700立方メートルで、生産能力は日量3万バレルとなっている。アルテラによるFPSO のオペレーションは、15年間の契約でバレン油田に配備され、2024年12月から操業を開始する予定だ。

バレン油田は、ENIが2021年9月にコートジボワールの南東部に位置するアッシーニ沖合約60キロの油田鉱区CI-101で発見され(2021年9月13日記事参照)、2023年8月から本格的な操業を開始した。同油田の埋蔵量は、原油が25億バレル、天然ガスが3兆3,000億立方フィート(約934億立方メートル)と見込まれる。2024年4月時点で、原油日量2万2,000バレルと天然ガス日量1,000万立方フィート(約28万立方メートル)を生産しており、天然ガスは同国の発電用に供給されている。第2フェーズの開始により、バレン油田の総生産量は原油日量6万バレル、天然ガス日量7,000万立方フィート(198万立方メートル)と大幅に拡大する見通しだ。

またENIは2024年3月、CI-205鉱区において、バレン油田に次ぐ規模のカラオ油田を発見した。カラオ油田は、沖合約45キロメートル、バレン油田の西約120キロメートルに位置し、埋蔵量は石油換算で10億~15億バレルと見積もられる。同社は当初、バレン油田の開発に総額100億ドルの投資を発表していたが、カラオ油田を含めると150億ドルに達する見通しだ。天然ガスを豊富に含むカラオ油田は、将来的にコートジボワールの発電需要を満たすことが期待されており、コートジボワール政府は、天然ガスの最適利用に不可欠な液化天然ガス(LNG)気化装置と貯蔵能力を備えたガスターミナル建設プロジェクトを推進したい意向をイタリア政府に伝えている。

コートジボワールの石油・天然ガス部門は、バレン油田の開発により活況を呈しており、2024年上半期の原油生産量は、前年同期の443万バレルから83.6%増の814万バレルに急増した。

(野澤俊明、渡辺久美子)

(コートジボワール、イタリア)

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