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USMCA第4回自由貿易委員会開催、北米の競争力強化・維持などを確認(米国、メキシコ、カナダ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月24日 16時0分

米国通商代表部(USTR)は5月23日、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の第4回自由貿易委員会(FTC)を終え、3カ国による共同声明を発表した。FTCは協定の管理・運用・勧告などを行う閣僚レベルの枠組みで、今回は米国アリゾナ州フェニックスで行われた。米国からはキャサリン・タイUSTR代表、カナダからはメアリー・エング輸出振興・国際貿易・経済開発相、メキシコからはラケル・ブエンロストロ経済相が参加した。

共同声明によると、3カ国の閣僚は、農業バイオテクノロジーに関する協力のためのワーキンググループおよび、繊維、貿易の技術的障壁(TBT)、良き規制慣行、国有企業・指定独占企業、中小企業に関する委員会から報告書を受け取った。また、包摂的貿易と環境、北米の競争力、強制労働によって生産された商品の輸入禁止に関する協力などについて議論した。各分野の合意内容などは、次のとおり。

中小企業:中小企業の域内およびグローバルなサプライチェーンへの統合を推進するメカニズムを再確認。
包摂的貿易と環境:貿易がグローバルな環境課題に対処し、持続可能性に関する共通目標を前進させるための重要な手段であることで合意。また、貿易と環境目標の追求において包摂性を優先するとのコミットメントを再確認。
北米の競争力:貿易の流れに影響を与える特定の緊急事態に対処するため、緊急対応小委員会の臨時会合の招集手順などが更新されたFTC決定第5号の付属書に署名(注1)。また、労働力開発プログラムを通じた北米の労働者の機会増加の重要性を強調。北米の半導体エコシステムの成長について議論するため、米国が2024年後半にフェニックスで労働力開発イベントを主催することを発表(注2)。
労働者の権利および強制労働により生産された商品の輸入禁止に関する協力:結社の自由および団体交渉権を含む、USMCAが定める労働者の権利を支持するとのコミットメントを再確認。また、強制労働や労働搾取の撲滅に向けたベストプラクティスの共有などについて議論。

共同声明ではまた、協定を弱体化させ、自動車分野などで締約国の労働者に損害を与える他国の非市場的政策や慣行に関する協力拡大で合意した、とも記した。米国では特にメキシコを経由した中国製電気自動車(EV)や関連部品の流入に対する危機感が強く、今回の共同声明ではこの点を意識したとみられる(注3)。USMCAでは、発効から6年後に協定を見直すことが定められている。2026年7月に予定されている見直しでは、現時点でも厳しい自動車の原産地規則がさらに厳格化されるのか、といった点が注目されている。

(注1)USMCAの26章「競争力」では、北米競争力委員会の設置が定められている。2023年2月に発効したFTC決定第5号は、貿易の流れに影響を与える特定の緊急事態に締約国がどのように協力して対応するか、具体的な手続きが定められている。今回の付属書の署名は、新型コロナウイルス禍を教訓としていると、タイ代表が発表した。

(注2)3カ国は半導体に関して、地域的なサプライチェーンの強化を目的とする「北米半導体会議(NASC)」や(2023年5月24日記事参照)、競争力や生産性の強化を目的とする経済競争力委員会(NAMCEC)を立ち上げている(2023年5月26日記事参照)。

(注3)タイ代表は、米国シンクタンクがUSMCAに関する年次報告書公表にあわせて開催したイベントで、中国製のEVやバッテリーの流入に対する懸念を示している(2024年3月8日記事参照)。

(赤平大寿)

(米国、メキシコ、カナダ)

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