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ベルギー総選挙、極右が伸長も圧勝には至らず、連立交渉は難航が予想(ベルギー)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月14日 0時35分

添付資料PDFファイル(234 KB)

ベルギーで6月9日、連邦議会下院、地域議会などの総選挙と欧州議会選挙が実施された(選挙結果)。2019年の前回選挙(2019年5月28日記事参照)に続き、極右政党が議席数をさらに伸ばしたものの、特にフランス語圏で中道政党が議席を増やした結果、圧勝とはならなかった。

連邦制をとるベルギーでは、連邦政府と、地理的区分に基づく地域政府(ブリュッセル首都圏、フランダース、ワロン)、言語に基づく共同体政府(オランダ語、フランス語、ドイツ語)が異なる管轄分野・地域の行政・立法権を保有している(注)。連邦議会上院とフランス語共同体議会以外の議員は直接選挙で選出される。

連邦議会下院では、オランダ語系の「新フランダース連合」(N-VA、地域主義)が1議席減らしたものの、24議席獲得し、前回に続き第1党を維持した。オランダ語系の極右政党「フランダースの利益」(Vlaams Belang、VB)は2議席増の20議席、フランス語系の「改革運動」(MR、穏健リベラル)は、6議席を積み増し、同じく20議席を獲得して第2党に躍進した。一方、前回支持を拡大した環境政党(「緑」「エコロ」)や、アレクサンドル・ド・クロー首相が率いる「フランダース自由民主」(Open Vld、穏健リベラル)は議席を減らした(添付資料表1参照)。

MRの勢いは、同時に行われた欧州議会選挙でもみられた。ともに第1党のVBとN-VAなどを含めほぼ全ての政党で議席数に変化はない中、MRのみ1議席伸ばした(添付資料表2参照)。

地域政府議会では、フランダース地域(北部、オランダ語圏)でVBが躍進し、第1党のN-VAと議席数を並べた(添付資料表3参照)。改選前の連立与党(N-VA、cd&v、Open Vld)は全て議席数を減らした。

ワロン地域(南部、主にフランス語圏)では、改選前の連立与党(MR、社会党:PS)、エコロ)の中で明暗が分かれた。連立3党のうち、社会党とエコロは議席を大きく減らし、MRが唯一議席を増やし第1党となった(添付資料表4参照)。

ブリュッセル首都圏地域(仏蘭バイリンガル)でも、野党のMRが議席数を大きく伸ばした(添付資料表5参照)。

前回第1党だったものの連邦政府の連立に参加しなかったN-VAは(2020年10月6日記事参照)、今回は参加の意思を示している。一方で、第2党の極右VBとの連立は拒否。MRなどとの連立を軸に協議が進むとみられるが、ベルギーでは少数政党が多く、連立交渉は難航が予想される。

(注)フランダース地域政府とオランダ語共同体は、フランダース政府として政府・議会を一体化。

(大中登紀子)

(ベルギー)

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