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第3回米大統領輸出評議会、サービス貿易の市場アクセス改善やタイとの経済協定締結を提言(米国、タイ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月13日 16時15分

輸出促進などに関して米国大統領に助言を行う大統領輸出評議会(PEC)は6月11日、バイデン政権下で3回目となる会合を開催し、サービス貿易およびタイとの通商関係強化に関する、ジョー・バイデン大統領宛ての提言書を採択した。PECは3月にタイを訪問していた(2024年3月26日記事参照)。

サービス貿易については、市場アクセスと内国民待遇の改善を通商政策の重要な柱の1つとすべきと提言した。サービスやデジタル配信サービスに対する各国の規制が拡大しているとして、具体的な措置の1つにWTOのサービス貿易交渉(TiSA)の再開を挙げた。サービス貿易の自由化を目指すTiSAは、2013年から始まったが、2017年から交渉が停滞している。また、米国抜きで世界的なデジタル分野のルールが設定され、米国企業が不利益を被ることを懸念しているとして、「デジタルサービス輸出における米国の世界的リーダーシップの再構築」も提言した。デジタル貿易に対して、米国通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表は、米国内でルール化した後に貿易相手国と議論すべきとの立場を取っており、慎重な姿勢を示している(2024年6月5日記事参照、注)。提言書では、米国の貿易相手国は、デジタルに関する市場アクセスや内国民待遇について交渉する一方で、プライバシーや消費者保護、競争政策などを制定または維持しているとして、「米国も同じことができるはずだ」と述べている。

タイとの通商関係強化については、貿易投資、デジタルインフラなど8つの分野で提言し、その筆頭に同国との経済協定の追求を挙げた。PECのメンバーで、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)のグローバル会長を務めるリッチ・レッサー氏は、「現在の環境において、貿易協定がいかに困難かについては誰もが理解している」としながらも、米国とタイの関係は「強力な経済協定がないために妨げられている」と述べた(政治専門紙「ポリティコ」6月11日)。提言書では、経済協定について「貿易障壁を取り除き、公平な成長を促進することによって、両当事者に利益をもたらす」と述べるにとどめ、具体的な内容には触れなかったものの、産業界からは自由貿易協定(FTA)を望む声が根強い(2024年6月7日記事参照)。米国とタイは2003年に自由貿易協定(FTA)の交渉入りを宣言したが、その後発効できずに終わっている。なお、バイデン政権は市場アクセスを伴わない通商協定を交渉しており、その最たる例がインド太平洋経済枠組み(IPEF)だ。IPEFにはタイも参加しており、IPEFサプライチェーン協定は、2024年6月23日にタイに対しても発効する(2024年6月10日記事参照)。

PECの次回会合は2024年11月の大統領選挙前の10月に開催予定で、オフィスセキュリティー企業のキャッスル・システムズの会長を務めるPECのマーク・アイン議長は、政権がPECの提言に対してどのように行動したかを議論する予定だと述べている(米通商専門誌「インサイドUSトレード」6月11日)。

(注)米国商工会議所や連邦議会下院の監視・説明責任委員会は、USTRによるデジタル貿易ルールに関する決定は、一部の議員や特定の団体の影響を受けているとして調査を行っている(2024年3月11日記事2024年6月6日記事参照)。

(赤平大寿)

(米国、タイ)

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