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米USTR、WTOでの対中貿易政策検討会合で非市場的政策や過剰生産などを批判(米国、中国、EU)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月19日 13時50分

米国通商代表部(USTR)は7月17日、WTOによる中国の貿易政策検討(TPR)会合における、デビッド・ビスビー在ジュネーブ代理公使の声明を発表した。米国がかねてから主張している、中国の不公正な政策や慣行、過剰生産、経済的威圧をあらためて批判する内容となっている。

声明では、米国は過去2回の中国のTPRで、国際貿易システムにおける中国の役割の重要性と課題を明らかにしたが、「課題は存続しているだけでなく、増加し続けている」と批判した。またWTO加盟によって、中国が市場原理に基づく経済政策を受け入れることを期待したが、「20年以上経った今なお、その期待は実現されていない」とし、むしろ「中国は国家主導の非市場的な経済アプローチを倍加させ、米国や新興国・発展途上国を含む他の国々の労働者や企業に不利益を与えている」と非難した。中国は、WTO加盟国の中で唯一の非市場経済国ではないとしつつも、その経済規模と貿易額の大きさから、外国企業を排除するための国家主導の経済政策を利用できる独特な立場にあるとし、「外国企業は個々の中国企業と競争しているのではなく、協調して行動する中国政府と中国企業と競争している」と批判した。さらに、国家主導のアプローチが過剰生産をもたらし、低価格の輸出品の氾濫につながっていると指摘した。米国は近年、特に中国による電気自動車(EV)や鉄鋼・アルミニウム製品などの過剰生産を問題視しており、これら製品に対する1974年通商法301条に基づく対中追加関税の引き上げの発表や(2024年5月23日記事参照)、中国からの迂回輸入を防ぐため、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の自動車原産地規則の厳格な運用(2024年7月3日記事参照)、1962年通商拡大法232条に基づくメキシコ産鉄鋼・アルミ製品への追加関税措置の適用除外要件の追加などを行っている(2024年7月12日記事参照)。

また、中国による経済的威圧については、形態はさまざまだとしながらも、国際的なルールに基づく秩序下での経済活動ではないと批判した。声明は最後にUSTRのキャサリン・タイ代表の言葉を引用して、「中国は国際貿易システムに対する最大の挑戦者であり続けている」と締めくくった。なお、今回のTPRにあわせて、米国だけでなく、EUなども中国の過剰生産などを批判する声明を発表している。

米通商専門誌「インサイドUSトレード」(7月17日)によると、中国側は、こうした米国やEUの懸念に対し直接的に答えなかった。ただし、中国はTPRに向けた政策声明において、「一部の国が他国とのデカップリングを主張し、経済貿易問題を政治化・武器化しようとしたり、安全保障の概念を拡大解釈しようとしたりする」として暗に米国を批判しつつ、「中国は開放というウィンウィンのアプローチを追求し、開かれた世界経済の構築を推進している」「中国は正しい方向のまま経済をグローバル化しており、貿易と投資の自由化と円滑化を推進し、多国間、地域間、2国間協力を推進している」と中国側の立場を主張している。

(赤平大寿)

(米国、中国、EU)

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