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米国務省、エビの輸入許可国などを発表、ウミガメ保護が条件(米国、日本)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月13日 11時55分

米国国務省は6月11日、天然エビの輸入禁止措置が適用されず、米国への輸入を許可する38カ国・地域、9つの漁業環境を発表した。同日付の官報で公示した。

米国は、1989年に制定された公法101-162号609条(合衆国法典16編1537条)に基づき、ウミガメの保護を目的に、ウミガメを混獲する可能性のあるトロール網漁で捕獲されたエビの米国への輸入を禁止している。ただし、養殖エビや、国務省が認定する国・地域、漁業環境で漁獲された天然エビは輸入が認められる。国務省の認定は毎年行われており、今回発表された国・地域、漁業環境は前年と同じだった。具体的には次のとおり。

(1)漁網にウミガメ保護装置(TED)を取り付けることを漁業者に義務付け、米国と同等のウミガメ保護措置を採用している国:コロンビア、エクアドル、エルサルバドル、ガボン、グアテマラ、ガイアナ、ホンジュラス、メキシコ、ニカラグア、ナイジェリア、パナマ、スリナム。

(2)ウミガメが生息しない低水温海域で漁業を行う、小型船を用いて手動で漁網回収を行うなど、偶発的なウミガメ捕獲の脅威がない国・地域:アルゼンチン、ベルギー、カナダ、チリ、デンマーク、エストニア、ドイツ、アイスランド、アイルランド、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ロシア、スウェーデン、英国、ウルグアイ、バハマ、ベリーズ、コスタリカ、ドミニカ共和国、フィジー、ジャマイカ、オマーン、ペルー、スリランカ、香港。

(3)上記国・地域単位では認定されていないが、(1)や(2)の理由に基づき個別に特定された漁業環境:日本の北海道のほか、韓国、スペイン、イタリア、フランス(仏領ギアナ)のそれぞれ1件、オーストラリアの4件。

609条を巡って、米国は1996年に同条の地理的適用範囲をカリブ海・西大西洋海域の14カ国から全世界に拡大した。これに対して、マレーシアなどがWTOの紛争解決機関(DSB)に申し立て、米国はパネル・上級委員会ともに敗訴した(いわゆるエビカメ事件、注)。上級委員会は裁定に際して、14カ国とそのほかのWTO加盟国との間で経過期間に差異があり差別的に扱ったなどと問題視した一方で、ウミガメを有限天然資源として保護することの実施目的は認めている。最終的に米国は敗訴したものの、WTOにおいて持続可能な開発の重要性が認識された事例の1つと位置付けられている。

(注)なお、米国は裁定を受けて、1999年に許可認定の柔軟性・透明性を高めるよう609条のガイドラインを改定している。

(葛西泰介)

(米国、日本)

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