総選挙の投票が終了、開票作業へ（南アフリカ共和国）

5年に1度の南アフリカ共和国総選挙（2024年4月23日記事参照）の投票は5月29日、予定どおりに行われ、終了した。1994年に初の全人種参加による民主的選挙が行われて以降7回目、民主化後30周年の節目の総選挙だ。投票は全国2万3,000強の投票所で午前7時から午後9時まで行われ、早朝から投票を待つ人の長い列が見られた。時間帯や投票所によっては、投票まで約1時間以上待ったという声も聞かれた。

事前登録した有権者は期日前投票が可能で、28日までには約93万人が投票を完了した。

投票当日のある投票所の様子（ジェトロ撮影）

29日の投票に際しては、一部の投票所でのシステム不具合や、投票妨害活動が見られたことが報じられているが、大きな混乱や暴動などは起きていないもようだ。当地の有力経済紙によると、投票率は66％程度と見込まれ、当初の予想を上回るとみられる。専門家の予想では、投票率が高まった場合、現与党のアフリカ民族会議（ANC）には不利な展開になるとされていたが、当地時間5月31日午前5時時点の独立管理選挙委員会（IEC）の開票速報では、ANCの全国得票率は42.34％となっている（開票率51.73％）。

ANCに続き、民主同盟（DA）は23.38％、経済的解放の闘士（EFF）が9.62％、民族の槍（やり、M.K.）が10.77％と、事前予想のとおりに票を獲得しており、愛国同盟（PA）が得票数2.81％で5番目となっている。調査会社S-RMによると、PAの政治的立場は中道右派で、主な支持基盤は総人口の約10％弱を占めるカラード（注、2023年10月27日記事参照）だ。現時点で北ケープ州、西ケープ州、東ケープ州の一部地域で支持を集めている。PAは実業家のゲイトン・マッケンジー氏とケニー・クネネ氏が2013年に設立し、2014年選挙では0.07％、2019年選挙では0.04％の得票率で、国民議会での議席獲得には至っていない。

各党の選挙ポスター（ジェトロ撮影）

IECによると、全国州議会と州議会選挙結果の正式発表は6月2日、同結果を踏まえた各党議席配分は6月6日の発表が予定されている。

（注）白人と黒人の混血などの人々のことを南アではカラード（Coloured）という人口グループに分類する。

（的場真太郎、堀内千浪）

（南アフリカ共和国）