「グリーンショアリング・ワークショップ」で日本企業に協力呼びかけ(サウジアラビア、日本)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月24日 14時35分
サウジアラビアの投資省(MISA)と産業・鉱物省などによる「グリーンショアリング・ワークショップ」が5月17日に東京で開催され、多くのサウジアラビア政府関係者や企業、日本企業が参加した。ワークショップではグローバル・サプライチェーン・レジリエンス・イニシアチブ(GSCRI)(2022年10月24日記事参照)や、同国の経済特区の概要と利点、グリーンショアリングについての説明に加え、サウジアラビア側から日本企業とのコラボレーションのへの期待が示された。
ワークショップの冒頭、ジェトロ・リヤド事務所の秋山士郎所長がサウジアラビア政府の投資戦略などについて解説した。地域的な要衝にあり、速いスピードで変化を遂げている同国は、中東・北アフリカ(MENA)地域のハブを目指すべく、企業誘致に力を入れている。日本企業の関心も高まっており、日・サウジ・ビジョン2030の下、両国は戦略的なパートナーシップを進めているとした。
MISAからは「ビジョン2030」(2024年5月9日記事参照)をはじめとする「INVEST SAUDI」やGSCRI、特別経済特区(SEZ)の概況の説明があり、産業・鉱物資源省は産業発展のためのサウジアラビアの戦略を説明した。特にMISAは、サウジアラビアの地理的な利点を生かしたグローバルサプライチェーンの変革に向けて取り組んでいることを強調した。その中で、エネルギーやインフラなどへの投資を含めて、日本企業にも大きなチャンスがあるとし、温室効果ガス(GHG)ネットゼロを目指して、サウジアラビアと相乗効果のあるコラボレーションを呼びかけた。
シンクタンクのザ・ヨーロピアン・ハウス・アンブロセッティ(TEHA)のInno Tech Hub責任者、コッラード・パンツェリ氏がサウジアラビア政府とTEHAが開発した「グリーンショアリング」という新しい概念を紹介した。同氏は「グリーンショアリング」を「原材料の持続可能性、再生可能エネルギー源へのアクセス、ゼロエミッションの目標を達成するための技術的ソリューションの採用を確保できる場所でサプライチェーンを再定義することを目的とした革新的なコンセプト」と紹介し、グリーンショアリングを産業の下流部門(ダウンストリーム)の経済発展のための新しいフロンティアだと述べた。脱炭素化に向け、社会的・技術的観点から各国企業と協力していく必要性を訴え、他の登壇者と同様に、グリーンショアリングでも日本とのパートナーシップを呼びかけた。
「グリーンショアリング」ワークショップ(ジェトロ撮影)
「グリーンショアリング」ワークショップ(ジェトロ撮影)
会場入り口の様子(ジェトロ撮影)
(加藤皓人、夏目みゆき)
(サウジアラビア、日本)
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