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持続可能性や資金・人材の流動性を重視、2025年のASEAN産業界(ASEAN、マレーシア)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月7日 14時45分

ASEANビジネス諮問委員会(ASEAN-BAC、注1)は11月4日、2025年の優先事項に関して、日米欧などの産業界との意見交換を行った。同年のASEAN議長国マレーシアが重視する「包摂性と持続可能性(Inclusivity and Sustainability)」に関する取り組みが強調された(2024年11月1日記事参照)。

ASEAN-BACマレーシアのナジル・ラザク議長が優先事項に関する説明を行い、これまでの取り組みを踏襲することを含めて、多くのイニチアチブに取り組むと表明した。ナジル議長は具体的な取り組みとして、包摂的で持続可能な未来の構築に向けて、女性の幹部・管理職登用や、従業員の属性(性別、人種、民族、世代など)の把握を通じて、より多様で包摂性のある労働環境を目指す「ASEAN多様性・公平性・包摂性(DEI)コレクティブ」への参加企業の拡大のほか、持続可能性に関する報告の簡素化による企業の負担軽減、炭素取引市場の相互認証・運用を促すための「ASEAN共通炭素枠組み(ACCF)」創設(注2)などの取り組みを挙げた。

また、ASEANの経済統合を進めるべく、域内の資金の流動性を高める。「ASEAN新規株式公開(IPO)もくろみ書」を実現させることにより、域内の企業が同書を公開すれば、域内のどの国からも資金調達が可能とすることを目指す。人材の流動性についても、企業の従業員だけでなく、教育やインターンシップ参加などを目的とした域内の移動や労働許可の取得をより容易にする方針を明かした。このほかにも、域内企業のデジタル化の推進や人工知能(AI)分野への取り組みにも意欲を示している。

ナジル議長はこれら優先事項について、マレーシア政府が主導する経済的優先事項(PED)とも整合的だと説明した。同政府のテンク・ザフルル・アジズ投資貿易産業相は、マレーシアは15項目のPEDを策定しており、包摂性や持続可能性に関わる項目に加え、半導体分野をはじめとするサプライチェーンの関連項目が含まれるとしている(10月29日付ベルナマ通信)。

日米欧の産業界関係者からは、再生可能エネルギーやデジタル経済などの分野で、連携していく意向が示された。

(注1)ASEAN-BACは、ASEAN各首脳が指名した産業界の代表からなる組織で、ASEAN首脳会合や経済担当相との対話の場で政策提言を行う。

(注2)ASEAN-BACマレーシアは9月24日、ACCF創設を目的に炭素市場プロジェクトを推進する非営利組織「マレーシア炭素市場協会(MCMA)」の立ち上げを発表している。

(藪恭兵)

(ASEAN、マレーシア)

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