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米カリフォルニア州知事、新たなAI法案に署名、学習データ開示とプライバシー保護を強化(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月8日 9時25分

米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は9月28~29日にかけて、人工知能(AI)に使用される学習データの透明性やプライバシーに関する、複数のAI関連法案に署名した(その他の9月17~20日に署名した法案は2024年9月30日記事参照)。

まず、学習データの開示を義務付ける法案(AB2013)では、生成AI開発者に対し、AIの学習に使用されたデータの情報を自社のウェブサイト上で開示することが義務付けられた。具体的には、データの出所、データがどのように使用されたかの説明、データの数、著作権や利用許可が必要なデータの有無、データ収集期間の公開が必要とされる。この法案は2026年1月1日から施行され、大規模データの学習を必要とするAIシステムに、責任と透明性を確保することを目指している。

プライバシー関連の法案(AB1008)では、カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA、注)が生成AIシステムにも適用されることが定められた。もしChatGPTのようなAIが個人情報(氏名、住所、生体認証データなど)を公開した場合、企業は規制の対象となり、今後、当該データを用いたサービスの利用や提供などを行えなくなる。

AIリスク関連で署名された法案(SB896)では、カリフォルニア州知事室緊急サービス局(CalOES)がオープンAIやアンスロピックといった主要AI企業と協力し、州のインフラへの脅威や大量死傷事件につながるようなAIリスクを分析することが義務付けられている。

さらに、ヘルスケア関連の2つの法案(AB3030SB1120)も署名された。AB3030は、医療提供者が生成AIを使用して患者の臨床情報に関する情報をやり取りした場合、その使用を開示することが義務付けられている。SB1120では、医療プランや保険会社に対し、AIを利用した審査が医療提供者の意思決定を置き換えることを禁止し、サービスの自動化に制限を設けている。

また、生成AIを使用したコンテンツに対し児童性的虐待に関する刑法の適用を拡大する法案(AB1831SB1381)も署名された。これにより、児童性的虐待に関連する生成AIコンテンツの所持、配布や制作が刑法の対象となり、生成AIの学習に利用された児童に対するデジタル上の虐待からの保護を強化している。

そのほか、公立学校におけるAI利用に関する法案(AB2876SB1288)も署名され、AIリテラシーを高める教育の提供が進められる。

(注)カリフォルニア州民(消費者)の個人情報を取得する事業者に課される情報開示義務や、消費者に対しオプトアウト権(個人情報の販売中止を求める権利)を与えることなどを定めた民間部門対象の包括的なデータプライバシー法。詳細は2019年6月6日付地域・分析レポート参照

(松井美樹)

(米国)

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