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バイデン米政権、メキシコのドイツ系自動車工場での労働問題解決を発表(米国、メキシコ、ドイツ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月28日 13時10分

米国通商代表部(USTR)は8月26日、ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)グループのメキシコ関連会社フォルクスワーゲン・デ・メヒコの工場での労働問題が解決したと発表した。

同事案は、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が定める「事業所特定の迅速な労働問題対応メカニズム(RRM)」に基づいて、米国政府とメキシコ政府、フォルクスワーゲン・デ・メヒコの3者間で問題解決が図られていた。米国政府は2024年5月、フォルクスワーゲン・デ・メヒコの同国中部プエブラ州の工場で労働権侵害があったとする元従業員からの申し立てを受け、メキシコ政府にRRMに基づいて事実確認を要請した(2024年5月30日記事参照)。7月には、メキシコ政府は労働権侵害の事実を認定したほか、米国・メキシコ両政府は問題解決に向けた是正計画に合意し、メキシコ政府とフォルクスワーゲン・デ・メヒコが是正措置を履行していた(USTR発表資料参照)。

今回のUSTRの発表によると、フォルクスワーゲン・デ・メヒコは不当に解雇した元従業員を復職させた上で、未払い給与の支払い、復職ではなく退職を選択した元従業員には退職金の支給などの措置を講じたほか、メキシコ政府はフォルクスワーゲン・デ・メヒコの従業員に対して労働権に関する研修実施などの措置を講じた。USTRは是正措置の履行を受けて、メキシコ政府への事実確認要請と同時に、停止していた当該工場からの輸入に関する関税の精算を再開するよう、財務長官に要請した。USTRのキャサリン・タイ代表は「この事案を通じて、メキシコ最大の自動車製造工場の労働者は、結社の自由と団体交渉権の行使を自由にできることが保証された」と述べた。

バイデン政権は「労働者中心の通商政策」を掲げ、貿易相手国企業に米国企業と同等のコンプライアンス基準を求め、その競争条件を平準化することで労働者の権利を保護し、いわゆる「底辺への競争」の防止や、米国の雇用・経済的利益の確保を図っている(2024年3月5日記事参照)。この観点から、米国政府はこれまでメキシコ政府に対して、RRMを通じて26件の労働問題の確認・解決を要請している。うち今回の件を含めて21件は解決済み、2024年6月以降に申し立てられた3件は事実確認中、2件は紛争解決パネルに持ち込まれている(2024年4月17日記事2024年5月16日記事参照)。

これまでのRRMに基づく措置については、USTRまたは労働省のウェブサイトを参照。RRMの動向や対応については、ジェトロの2023年8月8日付地域・分析レポートも参照。

(葛西泰介)

(米国、メキシコ、ドイツ)

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