カナダ、「2024年秋の経済声明」発表、国内産業の活性化図る(カナダ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月24日 0時20分
カナダ政府は12月16日、財政支出計画や経済見通しなどを示した「2024年秋の経済声明」を発表した。カナダの秋の経済声明は、その1年間の経済・財政見通しを取りまとめるとともに、次年度の政府予算方針を決め、発表するものとなっている。
声明は4つのパートに分かれており、前提となる経済概観に続いて、第1章「日々のコストを下げる」、第2章「給与を上げるための投資」、第3章「安全で強固かつ公平な統治」の順に、今後の方針をまとめている。
特に第2章では、自国内雇用と経済を強化するための複数の方針を立てており、外国企業にも影響が出てくるとみられる。主な産業関連の方針は次のとおり。
カナダの人工知能(AI)の優位性を確保し、世界のリーダーとしてのカナダの地位を強化する(注1)。
投資加速化インセンティブを完全に復活させ、カナダの雇用を保護する機械・装置、クリーンエネルギー製造、省エネ機器、ゼロエミッション車(ZEV)の製造または加工のための即時支出を再開する。
電気自動車(EV)サプライチェーン投資額に対する10%の税額控除の詳細を発表する。
国家経済を守るため、カナダのサプライチェーンのフレンドショアリング(注2)を推進する。
責任ある重要鉱物のサプライヤーとして、米国や志を同じくするパートナーと協力し、重要鉱物の価格を過度にゆがめる非市場的政策や慣行の影響に対処する。
核燃料のサプライチェーンを強化し、ロシアの影響を受けないよう、米国をはじめとした同盟国の濃縮核燃料の需要を支える。
通常の流れでは、秋の声明を基に、政府が翌年2月をめどに次年度の予算案を作成することになる。
なお、本来本経済声明を発表予定だったクリスティア・フリーランド副首相兼財務相は今回の経済声明を発表する直前に、ジャスティン・トルドー首相から信頼を得られていないことや、経済活動に対する方針の違いを理由に辞任した(2024年12月19日記事参照)。そのため、発表は財務相ではなく、カリナ・グールド下院政府総務が発表するかたちとなった。
(注1)カナダ政府は「汎(はん)カナダAI戦略」に基づき、オンタリオ州トロント、ケベック州モントリオール、アルバータ州エドモントンの3都市に対し、10年間で合計2億800万カナダ・ドル(約226億7,200万円、Cドル、1Cドル=約109円)を投資し、AIイノベーションエコシステムを強化している。
(注2)信頼できる同盟・パートナー国との間でサプライチェーンを多様化すること。
(谷本皓哉)
(カナダ)
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