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米企業の対中ビジネス見通し、悪化もサプライチェーン移転は限定的、米中ビジネス評議会調査(米国、中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月2日 1時0分

米中ビジネス評議会(USCBC)は9月6日、対中ビジネスに関する2024年の会員企業向け調査結果を発表した。長期化する米中対立により、米国企業の対中ビジネスが阻害されている結果が示された。一方で、中国からサプライチェーンを移転したとする企業よりも、短期的には移転予定がないとする企業の方が多かった。

調査結果(注)によると、今後5年間の対中ビジネスの見通しについて、「楽観的」と回答した割合は7%、「やや楽観的」が37%、「やや悲観的」が21%、「悲観的」が8%だった。「楽観的」との回答は2023年の14%から半減した。新型コロナウイルスのパンデミックが落ち着きつつあった2021年以降、悲観的な割合が拡大傾向にある(2021年は「楽観的」27%、「やや楽観的」42%、「やや悲観的」8%、「悲観的」1%)。このうち対中ビジネスに最も影響を与える要因では、「地政学」が85%と最多で、「中国市場の成長」(61%)、「政策と規制環境」(57%)が続いた。

米国と中国の緊張の高まりが中国ビジネスに与える影響については、「害がある」が71%、「非常に害がある」は8%だった。そのほか、「無視できる程度」18%、「有益」3%だった。具体的な影響については、「顧客が供給の継続に不安を抱いていることによる販売機会の損失」が45%と最多で、「供給継続の不確実性による調達先の変更」(43%)、「米国の規制当局による監視強化」(34%)が続いた。

概して、米中対立による規制強化などが米国企業の対中ビジネスにネガティブな影響を与える結果となっているが、中国でのサプライチェーンについては、「見直しをしておらず、短期的に見直す予定もない」が最多の26%で、「見直したが、具体的な決断はしていない」(25%)が僅差で続いた。以下、「見直しを行い、中国に特化したサプライチェーンとそれ以外の地域のサプライチェーンを同時に運用している」(14%)、「見直しを行い、サプライチェーンの一部を中国から移転した」(13%)が続いた。サプライチェーンの移転先については、東南アジアが87%と最多で、次いでインド(53%)、米国(30%)が多かった。米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)で米国と経済圏を同じにするメキシコは20%にとどまった。そのほかの設問では、中国での市場シェアが「増加した」と回答した割合は15%にとどまる一方で、「減少した」は34%だった。2020年の調査時には「増加した」が36%で、「減少した」は25%だった。

こうした調査結果について、USCBCのクレイグ・アレン会長は「地政学、過剰生産能力、中国国内の需要不足が利益と楽観的な見通しをともに低下させており、今年の調査結果は、中国でビジネスを展開する米国企業にとって、複雑で困難な状況が継続していることを示している」とした上で、「米国と中国の政策が今後どのように展開していくかは、ビジネスの成果だけでなく、米中関係全体や世界の安定性にも長期的な影響を及ぼす。だからこそ、USCBCは健全な商業交流を促進する賢明で公平かつ透明性のある通商政策を提唱し続ける」として、対中ビジネスを阻害する極端な政策を懸念する声明を発表した。

(注)調査は2024年6~7月に実施、回答企業数は140社。なお、USCBCの会員企業は、中国でビジネスを行う270社以上の米国企業。

(赤平大寿)

(米国、中国)

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