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米商務省、2024年の輸出管理規則に基づく執行実績を発表(米国、ロシア、中国、イラン)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月9日 0時5分

米国商務省産業安全保障局(BIS)は1月2日、2024年の輸出管理規則(EAR)に基づく執行実績を発表した。

BISが執行実績でまず挙げたのは、前年(2024年1月18日記事参照)同様、破壊的技術ストライクフォースを通じた成果で、米国の先端技術を敵対国家による違法な取得から継続的に保護してきたと記載した。同ストライクフォースは、米国の先端技術をロシアや中国などによる違法な取得や使用から守ることを目的に、商務省と司法省が2023年2月に立ち上げた(2023年2月17日記事参照)。報告書では、同ストライクフォースの活動範囲が17都市に拡大したと記載した(注1)。

また、国家安全保障への重大な脅威に対する執行措置として、インテグラ・テクノロジーズがウクライナに侵攻するロシアにトランジスタなどを違法に輸出したとして330万ドルの罰金を科した事例(2024年12月19日記事参照)や、グローバルファウンドリーズがエンティティー・リスト(EL)に掲載されている中国のSJセミコンダクターに、必要な許可を取得せずに半導体ウエハーを輸出したとして50万ドルの罰金を科した事例(2024年11月5日記事参照)などを列挙した。

執行事例以外では、EAR違反の自主的な自己開示(VSD)と罰則に関するガイドラインの改定(2024年9月13日記事参照)、規制品目の横流しリスクのある事業体を通知するガイダンスの公表(2024年7月11日記事参照)、ロシアによる輸出規制回避を防止するG7の共同ガイダンスの発表(2024年9月25日記事参照)、EAR順守のための学術界向け資料集の発表(2024年8月16日記事参照)、ボイコット(取引拒否)加担を要請した事業者リストの公開(2024年10月3日記事参照、注2)など、執行プログラムの改善などについても記載した。

バイデン政権は、輸出管理の強化を米国の経済安全保障政策の中心に据えており、今回発表した実績に記載されているとおり、輸出管理違反に対するBISの執行能力の強化などを行ってきた。一方で、バイデン政権下では、主に連邦議会からBISに対して、規制が十分に施行されてないとの批判がたびたび上がっていた。そのため、トランプ次期政権下では、バイデン政権が強化した規則がより厳格に運用されるのではないかと指摘されている(米国通商専門誌「インサイドUSトレード」1月3日)。

(注1)当初は12都市から始まり、2024年の発足1周年で15都市に拡大していた(2024年2月15日記事参照)。

(注2)BISは2024年12月30日にボイコットを要請した事業者リストを更新している。

(赤平大寿)

(米国、ロシア、中国、イラン)

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