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クイーンズランド州議会選挙で野党が勝利、9年ぶりに政権交代(オーストラリア)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月5日 10時0分

オーストラリア北東部クイーンズランド州の州議会選挙(定数93)が10月26日に行われ、野党の自由国民党(LNP)(注1)が過半数の議席(注2)を獲得した。与党・労働党は僅差で敗れ、2012年から2015年までのキャンベル・ニューマン政権以来9年ぶりの政権交代が決定した。選挙の結果を受けて10月28日、自由国民党の党首であるデービッド・クリサフリ氏が第41代のクイーンズランド州首相に就任した。自由国民党が2008年に単一政党となってから、クイーンズランド州で政権を獲得するのは2回目となる。

自由国民党は、犯罪(特に青少年犯罪)、生活費高騰、住宅不足、医療サービスの4つの問題を「危機」と位置づけ、これらへの対策に重点を置いて選挙運動を展開した。選挙前の10月13日には、自由国民党政権が誕生した場合に、政権発足後の100日計画を発表することを公約として掲げ、同計画にこの4つの問題を解決するための施策も盛り込む予定だ。

エネルギーについては、クリサフリ新政権は、2050年のネットゼロ実現に向けて取り組むことに変わりはないものの、前労働党政権が計画していた120億オーストラリア・ドル(約1兆2,120億円、豪ドル、1豪ドル=約101円)規模の「パイオニア・バルデキン揚水発電所プロジェクト」の廃止、再生可能エネルギーの目標の取り下げ(注3)、石炭火力発電の継続など、現実的な路線へ変更するとみられる。なお、保守連合(自由党・国民党)が2025年5月までに行われる予定の次期連邦総選挙に向けて原子力発電の導入を公約として掲げているが、クリサフリ氏は州内での導入に反対している。

10月28日付の公共放送ABC(電子版)によると、労働党は、犯罪の増加や生活費の負担増を懸念する低所得者の支持を維持することに苦戦するほか、短期的な戦略よりも実質的な対策を望む有権者に応えることができず、特に地方での議席を失ったと報じている。

クイーンズランド州はオーストラリアの北東に位置し、面積は日本の約5倍(約173万平方キロメートル)、約532万人の人口を擁する。国内では、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州に次いで3番目の経済規模を誇る。州都はブリスベン、鉱業、農業、観光業などが主要産業だ。

(注1)クイーンズランド州では、自由党と国民党は単一政党「自由国民党」として活動している。

(注2)10月26日午後11時時点で、LNPは州議会で必要な過半数を1議席上回る48議席を獲得した。11月1日午後3時時点で開票は続いており(開票率85.1%)、自由国民党が51議席、労働党が34議席獲得している。

(注3)クイーンズランド州は再生可能エネルギー比率を、2030年までに50%、2032年までに70%、2035年までに80%とする目標を掲げている。

(青島春枝)

(オーストラリア)

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