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スタンフォード大学で起業家育成プログラムが開始、シリコンバレーのデザイン思考を学ぶ(米国、日本)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月12日 0時0分

経済産業省およびジェトロが主催する「スタンフォード流イノベーターコース」が、8月26日から米国のスタンフォード大学ハッソ・プラットナー・インスティテュート・オブ・デザイン(dスクール)のキャンパスで始まった。IT分野での起業を目指す学生を対象としたこのプログラムは、シリコンバレーで起業家精神について学び、「デザイン思考(注)」のスキルを習得しながら、自身の事業案を構築することを目的としている。

プログラムでは、シリコンバレーを拠点とするアクセラレーターのUSマーケット・アクセスセンター(USMAC)が、講義やグループ活動、メンタリングを通して、実践的な起業支援を提供している。また、スタンフォード大学dスクールからは、創造力を開発する「デザイン思考」に関するカリキュラムが提供され、アイデアの発想を変革、構築する支援が行われる。さらに、同プログラムは、スタンフォード大学米国アジア技術経営センターのサポートも受けている。

参加した学生からは、「このプログラムは、シリコンバレーやスタンフォード大学で学べる貴重な機会であるため参加した」「メンターから起業成功のアイデアや、マインドセットを学びたい」「将来は海外で起業したいので、国際的に通用する方法を知りたい」「海外で活躍したい。やりたいことと生活のバランスを考えたい」など、さまざまな参加目的が語られた。

初日は、USMACによる「起業における最も重要な3つの要素」についての講義から始まり、ビジネスチャンスの見つけ方や、価値の定義方法について、学生たちはグループでアイデアを交換した。参加者の1人は「講義やメンターとの対話、他の参加者との交流を通じて、自分のビジネスアイデアの不足点に気づき落ち込んだが、同時に大きな刺激を受け、さらに深く考えるきっかけとなった」と感想を述べた。

写真 熱心に講義を聴く参加者たち(ジェトロ撮影)

熱心に講義を聴く参加者たち(ジェトロ撮影)

また、体験型プログラムでは、デザイン思考のプロセスを理解してビジネス課題の解決につなげるスキルの習得を目的として、70セントのポテトチップスの小袋を持参し、それを使って物々交換を行うゲームに挑戦した。参加者はスタンフォード大のキャンパス内で交渉を重ね、最終的には薄型テレビや扇風機、150ドル以上の現金、食べ物、思い出の鉛筆、家具などに交換された。「良いものに交換できた後は、次に交換してくれるものを見つけるのが難しくなり、戦略を練る必要があった」「断られると心が折れることもあったが、意外と優しく対応してくれる人も多かった」といった感想が聞かれた。最初は「とにかく実行すること、声をかけること」だった、と多くの参加者が学んだ。

写真 物々交換ゲームで道行く人々と交渉中(ジェトロ撮影)

物々交換ゲームで道行く人々と交渉中(ジェトロ撮影)

さらに、dスクールによる「未来に対する想い」を考えるプログラムでは、参加者が似たような考えを持つグループの中で意見交換した後、異なる立場同士で意見を交換して発想を構築し、ビジネスアイデアにつなげていくという活動が行われた。参加者の1人は「参加者全員が似た考えを持っていると思っていたが、実際には多様な考え方が存在していた。似た考えを持つグループでは議論が深まり、異なる考えを持つグループとの意見交換では、自分たちのアイデアの不足点が明らかになった」と語り、多様な発想の重要性を理解した様子だった。

このプログラムは9月15日まで続き、シリコンバレーとスタンフォード大学というイノベーションの中心地で得た経験が、可能性にあふれる参加者たちを通じて、どのように広がっていくのか大いに期待される。

(注)ユーザー視点に立って潜在的なニーズを探り、解決策を得る思考方法。イノベーションを生み出すために効果的な方法としてスタンフォード大学dスクールで取り入れられている。

(松井美樹)

(米国、日本)

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