スリランカで海事産業セミナー開催、日本からの投資に期待(スリランカ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月20日 0時20分
スリランカ輸出開発庁(EDB)は11月26日、海事産業の輸出促進や外国からの投資拡大に向けて、「Voyage 2024」セミナーをコロンボで開催した。
基調講演に登壇したアニル・クマール・チョウラー元スリランカ海軍中将は、同国の海事産業の利点として、南アジア地域の主要海路・航路上にあるという戦略的立地(2023年6月1日付地域・分析レポート参照)や、周囲に広がる排他的経済水域(注)を強調し、船舶向けサービスや沿岸での漁業、マリンアクティビティーをはじめとした観光、洋上発電といった各分野で事業機会を創出するため、国家戦略の策定を提起した。
再生可能エネルギーに関するセッションでは、セイロン電力庁長官のティラック・シヤンバラーピティヤ氏が風力や風速などの観点から、スリランカ北西部のマンナール半島やカルピティヤ半島での洋上風力発電(2023年8月28日付地域・分析レポート参照)の可能性について語った。
また、スリランカ海事産業商工会が同セミナー内で、海事産業に関する5カ年計画を発表した。この計画では、2029年までに20億ドルの収益を上げることを目標に掲げ、戦略的パートナーシップの構築や重要インフラの整備、規制改革の実施などを求めた。
セミナーの様子(ジェトロ撮影)
スリランカの海事産業に対しては、日本からの投資も期待されている。EDBは11月24~25日、日本を含む8カ国の投資家を対象として、東部のトリンコマリー港と南部のハンバントタ港を視察するプログラムを実施した。スリランカ政府は、港湾開発を通じた輸送ハブ機能の強化により、貨物輸送のシェア拡大を目指している(2022年3月31日ジェトロ調査レポート)。
海運業界出身で、環境・社会・ガバナンス(ESG)分野の企業向けコンサルティングサービスを提供するピープル・パワー・インターナショナルのマネジングディレクターのスレーシュ・マールカンダン氏はジェトロとのインタビューで「日本の海事産業には長い歴史があり、世界でも有数の競争力や知見を有する。船舶需要拡大に対応するため、港湾での燃料供給や、優秀な船員を育成する教育機関は有望分野だ」と語った(インタビュー日:12月9日)。
トリンコマリー港(ジェトロ撮影)。同港ではシンガポールのプリマ(Prima)が製粉工場を操業している(写真右奥、2013年4月10日記事より)。
(注)カナダのブリティッシュコロンビア大学とオーストラリアの西オーストラリア大学の共同研究「SeaAroundUs」によると、スリランカの排他的経済水域は、陸地面積の約8.1倍とされている。
(ラクナー・ワーサラゲー、大井裕貴)
(スリランカ)
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