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米税関、複数の通関業者に対する少額輸入貨物の電子申告利用資格停止を発表(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月4日 13時30分

米国税関・国境警備局(CBP)は5月31日、少額輸入貨物の通関における電子申告手続き「エントリータイプ86」に関して、複数の通関業者の利用資格を停止したと発表した。エントリータイプ86は、非課税基準額(デミニミス、注1)800ドル以下の少額輸入貨物の通関に際して、利用可能な米国の電子通関システム(ACE)上の手続き形態の1つで、2019年9月から試験運用されている。

CBPのトロイ・ミラー局長代行の声明によると、複数の通関業者の輸入貨物が「容認できないコンプライアンス上の懸念をもたらした」として、エントリータイプ86の利用資格を停止した。ただし、当該通関業者がCBPに対して改善策を策定・履行したことを証明すれば、利用資格の回復が検討されるとしている。利用資格が停止された通関業者や、問題となった輸入貨物の具体的な内容は明らかにされていないものの、ミラー局長代行は声明の中で、麻薬性鎮痛薬フェンタニルなどの製造に使用される原材料やそのほかの禁制品を米国に持ち込むためにデミニミスルールが悪用されていると例示した。また、ミラー局長代行は「CBPは、違法な活動を阻止するための取り締まりを国境を越えて行っており、今後もさまざまな方法でデミニミス貨物の悪用に対抗する能力を強化していく」と述べ、今後の取り締まり強化の方向性を強調している。

CBPは、少額輸入貨物が増加する中、一般輸入貨物に比べて簡易な通関手続きが利用可能な少額輸入の制度を悪用して違法な製品が輸入される可能性を、これまでもたびたび指摘してきた。ミラー局長代行は2024年3月に行った講演の中で、CBPが処理する1日当たりの少額輸入貨物の個数が前年の280万個から400万個に増加し、強制労働を用いて製造された製品や貿易協定に違反する製品が米国に流入する懸念があると指摘した(2024年3月29日記事参照)。

連邦議会も、少額輸入貨物の問題点を指摘している。連邦議会下院の中国特別委員会は、2023年6月に公表した報告書の中で、シーインやティームーといった中国発EC(電子商取引)企業が本来支払うべき関税を回避していると問題視した(2023年6月26日記事参照)。下院歳入委員会は、2024年4月に米国が追加関税を賦課している中国原産の製品などについては、デミニミスルールの適用対象外とする法案を下院本会議に提出した(2024年4月22日記事参照、注2)。

(注1)デミニミスは、2016年に成立した「2015年貿易円滑化・貿易執行法」により、それまでの200ドルから、現在の800ドルに引き上げられた。

(注2)ただし、2024年6月時点で下院本会議での審議や採決は行われていない。

(葛西泰介)

(米国)

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